言語処理学会ニュースレター

Vol. 10 No. 2 (2003年5月2日発行)


目次

第9回通常総会開催案内
第9回年次大会プログラム委員会からの報告
第9回年次大会実行委員会からの報告
<再掲>10周年記念論文賞 1次選考の推薦のお願い

■第9回通常総会開催案内■

第9回通常総会を下記の日程で開催します.多くの方々の参加をお待ちしています. なお,近日中にご案内のはがきをお送りしますので,ご欠席の場合は,かならず委任状(返信用はがき)をご返送下さい.

日時:6月26日(木)16時〜17時
場所:東京工業大学大岡山キャンパス西8号館E棟10階大会議室
目黒区大岡山2-12-1, Tel. 03-5734-3046/2685
http://www.titech.ac.jp/maps/index-j.html


■第9回年次大会プログラム委員会からの報告■

言語処理学会第9回年次大会は,本会議での一般発表(口頭発表とポスター発表)が182件に上り,これまでで最大規模の大会となりました.発表申込の件数が前回のそれを越えたので,少し交通の便が悪い会場とは言え首都圏で開催する今回の大会では参加者の数も前回の411を上回るであろうことは予想されましたが,果たして433名となり,これも過去最大になりました.チュートリアルとワークショップも盛況でした.プログラム委員長の手際が悪く,何事も間際になってばたばたしてしまいましたが,他のプログラム委員,実行委員,座長など,多くの方々のおかげで滞りなく運営できたと思います.皆様のご協力に感謝いたします.

今回の大会も,初日の3件のチュートリアル,それに続いて3日間の本会議,最後に1日のワークショップという形をとりました.本会議では,一般発表が多かったためパネルディスカッションは断念し,口頭発表とポスター発表,および2件の招待講演を行ないました.口頭発表は例年通り3パラレルのセッション構成にしましたが,休み時間が少なく,やや窮屈な感じもありました.

不況にもかかわらず(またはそれゆえに?)発表件数も参加者も増加の傾向にあること自体は結構だと思いますが,この傾向が続くとすれば,今後は従来の運営の仕方ではうまく行かなくなりそうです.次回の大会は記念すべき第10回ということでもありますし,大会全体のデザインを考え直す良い機会かも知れません.ポスター発表の割合を増やして議論できる時間を長くする等の方策が考えられます.また,発表が増えていると言っても,大学等からの発表が圧倒的多数を占め,かつその中で文科系の発表がまだまだ少ないと思います.たとえば自然言語処理技術に関連するビジネスモデルについてのチュートリアルや,言語に関する基礎研究に関するパネルディスカッションなど,企業と文科系の割合を増やすための積極的な工夫が必要でしょう.

また,これは以前から指摘されていることですが,やはり大会の規模が拡大しているため,会員のボランティアに依存して大会を運営することが難しくなりつつあるような気がします.大会の運営を可能な範囲でマニュアル化し,さらに可能なら外注すべきでしょう.特に予稿集は,印刷と製本だけでなく表紙や目次の作成も外注できると思います.発表申込はWWW上のツールを使って電子的に受け付けましたが,このツールについても高度化を図るとともに担当者に負荷が集中しない配慮が必要でしょう.

第9回年次大会プログラム委員長
橋田浩一(産業技術総合研究所)


■第9回年次大会実行委員会からの報告■

1. 場所期日

言語処理学会第9回年次大会は横浜国立大学教育文化ホールおよび講義棟6号館において次の期日に開催された.

チュートリアル : 2003年3月17日
本大会 : 2003年3月18日, 19日, 20日
ワークショップ : 2003年3月21日

2. 内容

チュートリアル: 上田 修功「統計的学習に基づくテキストモデリング」
今井 むつみ「レキシコンの獲得のために幼児が用いる知識と方略」
野田 尚史「文章・談話レベルの文法現象」
本大会: 一般発表 125件,ポスター発表 57件
招待講演: Hans Uszkoreit "Hybrid Methods for Language Processing"
石田 亨「コラボレーションのなかの機械翻訳
--日中韓馬・異文化コラボレーション実験の経験から--」
ワークショップ: 「言い換え/パラフレーズの自動化に向けて」
発表 6件
パネル「メディア/モダリティ統合における言語処理への期待」

状況:
参加者数
事前申込 当日申込 合計
本大会参加者数 352 81 433
チュートリアル 98 17 115
ワークショップ 83 9 92

収支決算:
公式な決算は出来ていないが,参加者が多いにもかかわらず事前登録が多く,実収入は例年より多少低めで270万円ほどであった.大会終了後に発生する経費もあるが,おおよそ予算通りであった.

総括:
主催者側としては,首都圏でありながら交通の便が悪いことを危惧していたが433名の参加者を得,これまでで最大の参加者数とのことであった.また,予稿集の厚さから見て一般発表件数,ポスター発表件数とも過去最大と思われ,盛況であった.

会場については,候補の部屋の工事,暖房設備等の関係から,主会場と離れた部屋を副会場とせざるを得なかった.利用規程で主会場で飲食が出来なかったことがあり,お弁当持参をお願いしながら離れた副会場の控え室へ移動して頂き,重ねてご不便をおかけした.主会場ではポスターセッションでデモンストレーションが奨励されていたこともあり,電源,有線/無線LAN 設備を用意し,インターネット接続を可能にした.過去の状況報告を受けて,ポスター会場の広さにも留意したが,さらに広くても良いかも知れない.たまたま主会場控え室は畳の和室で,ここにもインターネット接続環境とお菓子類を用意し,くつろいで頂いた.

昼食については,学内や周辺に飲食店が少ないことが検討段階当初から問題とされていた.お弁当の業者手配も検討されたが,そのための人員確保や経費,あとかたずけなどの問題から断念せざるを得なかった.結局,特に対策せず連絡用ホームページにてお弁当の持参をお願いしたのみだが,ご理解を賜りたい.懇親会は,学内の業者設備で行われたが,予約した見積もり人数にわずかに届かなかった.横浜中華街に流れたとの風評であったが,今後繁華街が近いところでの開催では考慮すべき点となろう.

主催者側から言うのはいさささ心苦しいのだが,大会運営はなかなか大変であった.事前のメールでのやりとりはともかく,奥村学先生@東工大,難波英嗣先生@広島市大には当日実労働をして頂いた.また,経理業務は福本恒平氏@学会センター関西に完全に依託した.やはり,機材の調達,人員の確保など開催会場特有の問題があり,所属の森辰則先生と田村が実働することが多くなる.このため,物品の購入やアルバイトによる対応で解決しようとしたが収支に負担がかかっていることだろう.逆に,歴代年次大会実行委員のご批判を恐れずに言えば,参加の方々のご理解と,経費と,2名+αの担当者がいれば,なんとか年次大会を開催できそうである.個人的にはいい経験であった.全国いろいろな所での開催を期待する.

第9回年次大会実行委員長
田村直良(横浜国立大学)


<再掲>
■言語処理学会10周年記念事業 --10周年記念論文賞--■
■1次選考の推薦をお願いします■

言語処理学会の設立10周年の記念事業のひとつとして,会誌「自然言語処理」の1巻1号から,9巻5号までに掲載された論文の中から10周年記念論文賞を選定することになりました.選考は1次と2次に分かれて行います.1次選考では,広く正会員の方に推薦論文を選んで投票していただき,その結果の相当数の上位論文を選考委員会にて2次選考し受賞論文を選定いたします.1次選考は以下の要領で行いますので奮って推薦してください.

選考における基準:言語処理学会設立以来,自然言語処理の分野で特筆されるべき業績と思われる論文

推薦方法:

step1:
下記の URL に候補論文の一覧表が掲載してあります.
    
http://www.r.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/~nakagawa/anlp/10A.pdf
step2:
この表の候補論文の中から10周年記念論文に相応しいと思われる論文1件をお選びください.
step3:
選んだ論文の投票番号(例えば,1巻1号の最初の論文は 11-A),会員番号を本文に記載したメールを下記にお送りください.
     jnlp@r.dl.itc.u-tokyo.ac.jp
なお,メールの Subject 欄には award とお書きください.
(注:正会員1名につき1票といたしますので,2重投票するとすべて無効になります.)

投票期間は2003年4月1日から2003年5月31日の間といたします.

10周年記念論文賞選定委員
中川裕志


学会に関する問い合わせは「学会センター関西」にお願いします.

学会センター関西:
〒560-0082 豊中市新千里東町1-4-2
千里ライフサイエンスセンタービル14F
学会センター関西 (担当: 福本 恒平)
Tel: 06-6873-2301, Fax: 06-6873-2300
Email: o-socie@bcasj.or.jp

言語処理学会事務局:
〒152-8552 東京都目黒区大岡山 2-12-1
東京工業大学 大学院情報理工学研究科
計算工学専攻 田中研究室内
Tel: 03-5734-3046, Fax: 03-5734-2915
URL: http://www.pluto.ai.kyutech.ac.jp/NLP/

ニュースレター担当(佐藤理史)
〒 606-8501 京都市左京区吉田本町
京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻
Fax: 075-753-5962
Email: sato@i.kyoto-u.ac.jp

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