言語処理学会ニュースレター

Vol. 13 No. 2 (2006年8月1日発行)


目次

会長退任の挨拶
会長就任挨拶
言語処理学会第12回年次大会報告
第12回年次大会 プログラム委員会からの報告
言語処理学会第12回年通常総会報告
第12回年次大会 優秀発表賞選考について
2005年、第12巻論文賞(既報)
IMTでの英語論文公開について


□会長退任の挨拶

前会長 中川裕志(東京大学)

 2年間にわたって勤めさせていただいた言語処理学会会長をこの3月に退任いたしました。動きの多かったこの2年間を振り返ってみようと思います。

 会長就任の挨拶を振り返ってみますと、以下の3つを課題としています。その後の2年間における変化についても併せて記します。

問題1.分野の固定化その1:
最近の自然言語処理の研究がコーパスを情報資源とし、機械学習で問題を解決するという正統派がますます強固になり、分野の成熟をうかがわせます。負の側面として分野の広がりを欠く、特に文系の言語学の研究者があまり積極的でない、という問題を併発したことです。

現状:過去2回の大会において文系を中心とする特別セッションを設定し、これによってかなり問題は解決してきたと思われます。このアイデアを提案し実現していただいた過去2回の大会の荒木プログラム委員長、河原プログラム委員長には、感謝に耐えません。研究内容としても広がりを感じるようになってきたことは喜ばしいとことです。

問題2.分野の固定化その2:
一方で、自然言語処理が大きな役目を果たすべき情報検索やWWW技術においても、当学会の浸透は十分ではありません。

現状:情報検索やWWW技術は本学会に十分に浸透してきましたが、その逆の流れはまだまだ弱いと思われます。実際は、それらの分野の研究者が自然言語処理の観点からみてもレベルの高い技術を駆使するようになってきましたが、自然言語処理研究者がそのような分野に入り込んでいく流れは少ないようです。もう少し、自然言語処理の技術や理論を他分野に輸出し、自然言語処理分野の名声を上げたいものです。

問題3.英文論文誌:
いろいろな動きはあったがまだ刊行には至っていない。

現状:結局、言語処理学会独自の英文論文誌は実現していません。しかし、この2年間に京大の西田先生が情報関係6学会の論文誌に掲載された英文論文をまとめて、Information Media Technology (IMT)という電子ジャーナルをJ-Stageで刊行されました。言語処理学会もその一翼を担うことになっています。したがって、雑誌「自然言語処理」に英文で論文投稿すれば、他の情報関係学会と束になって海外へ発信されるようになりました。このように雑誌「自然言語処理」への英文論文投稿は価値が高いものになったので、是非、英文投稿を推進していただきたいと思います。このように、会長就任当初に掲げた問題は、不完全とは言え進展があったと思いますが、これらは多くの関係者の創意工夫と努力によるものであり、大変感謝しております。

 ところで、会長をしている間に学会事務センターの破産という未曾有の事態に直面することになってしまいました。これについては、既に雑誌「自然言語処理」にて、その顛末を書きましたので、詳細は繰り返しません。しかし、過去からの資金的余裕があったこと、理事、役員をはじめ多くの関係者が一致団結して対処したことで、会員の方々への被害はかなり軽減できたように思います。考えてみれば、自由化と競争原理が是とされる昨今、自分の身は自分で守るべきだという当然の帰結が本学会にも降りかかったのだと思います。今回の経験から、最低限でも1年間分の雑誌刊行費用は確保するような運営が大切かと痛感いたします。その一方で、無駄な出費は押さえるが、催しにおいてはあまり吝嗇な感じにならないように、というメリハリの効いた運営が大切かと思います。ともあれ、この一件でお世話になった多くの方に心から感謝したいと思います。

 個人的には、最近、科学研究費特定領域研究「情報爆発」、経産省の「情報大航海」プロジェクトなどで、自然言語処理とWWWなどの外界との接点で仕事をすることが増えてきました。自然言語処理の持つ高い技術について外界へ伝えるとともに、外界からの技術的要請を自然言語処理の世界へ持ち込むような役割をすることも重要と考え、今後とも分野の発展に寄与していきたいと思っております。

 最後になりますが、編集委員時代から始めると、編集担当理事、編集長、副会長、会長と10年にわたって言語処理学会のお世話になりました。このことを感謝して、退任の挨拶に代えさせていただきたいと存じます。



□会長就任挨拶

慶應義塾大学 石崎俊

2006年4月から会長に就任しました。前任の中川先生の後を受けまして新たな体制で皆様のご協力を得ながら言語処理学会の運営に努力して行きたいと思います。

 本学会の活動は雑誌「自然言語処理」の発行や年次大会の実施などを初めとしてますます盛んになってきています。それは国内ばかりでなく海外でも様々な活動に結びついています。そのような学会活動の活発化の背景には、自然言語処理研究そのものの発展と普及があると思います。WEBにおける情報検索や抽出に関連した応用はセマンティックウェブなどのさまざまな研究プロジェクトになっています。それは研究ばかりでなく実用的な応用にも広がっており、自然言語処理技術の進歩がそのまま実際に役立つ状況になりつつあると思います。

 応用ばかりでなく基礎研究でも広がりが進んで来ていると思います。言語学分野の研究者の方々の積極的な参加による成果が出ていますし、心理学、社会科学などの文系の分野との連携や、脳科学や認知科学における言語機能の基礎研究の推進も含めて今後の更なる発展が期待されます。私自身も最近は脳科学の実験を大学の研究室で実施し、自然言語処理の基礎研究から応用研究、そして国際標準化など幅広い分野に関係しています。

 国際標準化機構 ISOの傘下にあるTC37では専門用語や言語資源に関する標準化を扱っています。我が国も積極的に参加して自然言語処理の観点から貢献しています。私自身も言語資源の管理についての標準化に関係して活動しています。言語資源の一般的な記述法、言語資源の内容の記述法などの他、多言語資源や辞書資源などを扱っており、標準化の対象は年々増加しています。

 このような研究の進展は、毎年3月に開催している年次大会の盛況につながっているようです。本ニューズレターの年次大会の報告にもあるように、本会議の参加者だけでも700名を超えていて年々増加しています。この数字は学会の会員数から見ても他の学会に比べて驚くほどの数字と思います。自分自身の研究成果の発表だけでなく、研究成果の発表を聞いて自分の研究に役立てたること、新しい手法を入手して応用に役立てることなど大いに期待されていると思います。それは、チュートリアルのプログラムの充実が、そのままチュートリアルへの参加者の大幅な増加につながったことからも分かると思います。

 国際的な学会活動に関しましては、特にアジア・太平洋地域の関連学会の連合組織 AFNLP への協力などを通じて言語処理学会として寄与していきます。情報通信研究機構理事長の長尾先生のご寄付で昨年度に創設した長尾ファンドは、アジアの若手研究者の国際会議の参加費を支援する目的で、本年7月のCOLING/ACL国際会議で初めて実施しています。この詳細については後日ご報告する予定です。

 英文誌発刊に関しては、学会創設以来の課題でありましたが、今年6月からIMT(Information and Media Technologies)という英文誌が発足しました。言語処理学会のほか情報処理学会、人工知能学会など6学会が合同で、刊行した英語論文を集めて編集し電子的に配布するもので、JSTの電子ジャーナルシステムであるJ-Stageを利用しています。英文論文のサーキュレーションの大幅な拡大が期待されます。

 しかしながら、当学会の今後には課題も多くあり解決する必要があります。一つは学会誌投稿査読編集システムです。ご存知のように今までRACCOという便利なシステムを使用していましたが、その運用会社の方で扱うことが出来なくなったために4月から使用を止めています。編集委員会を中心として新たなやり方を検討し、なるべく早い時期に軌道に乗せたいと考えています。

 また、昨年度から事務局の交代によって会費納入法の変更があって会員の皆様にご協力をお願いしました。それに伴って年会費に関する財務的な整理も今後の課題のひとつです。学会誌の編集出版作業については、従来は学生アルバイトのご協力で廉価に実施していましたが、それも限界になりましたので、費用はかかりますが専門家に依頼し効率的な作業に転換しています。

 以上のようにな色々な課題を解決しながら、また、学会活動の最近の活発化を維持しながら、言語処理学会の発展と自然言語処理研究の推進のために、皆様のご協力を得て努力していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。



□第12回年次大会報告

第12回年次大会大会委員長
斎藤博昭(慶応義塾大学)

内容

参加状況

事前申込当日申込合計
本大会参加者数592115707
チュートリアル27252324
ワークショップ22822250


会計報告

 会計結果については、理事会の承認を得た上で、後日、改めてニュースレターにて報告しますが、参加者数の増加と経費節減に努めたために大会としては黒 字となり、その分は学会会計に繰り入れます。

総括

 隔年で首都圏で開催している年次大会ですが、今回初めて慶應義塾大学が会場となりました。教室の確保のしやすさから日吉キャンパスを選びましたが、初めて日吉に来たという方も多かったようです。昨年の香川大学で参加者が激増した反動で、今回は減ると予想していましたが、昨年をはるかに上回る参加者数でした。この最大の原因は、チュートリアルを2トラックに増やしたことでしょう。これはプログラム委員長の京大・河原達也先生の発案による大会初の企画で、理系寄りと文系寄りのトラックを設け、自由に組み合わせて聴くことができるようにしたもので、非常に好評でした。一方、ワークショップも昨年の3倍の参加者がありました。また、今回初めて協賛企業を募り、協賛金あるいは会場でのドリンクサービスをお願いしました。これも河原達也先生の発案によるものです。

 これまで年次大会は赤字傾向で、その主な原因は製本版予稿集の収支にありました。そこで、今回は予稿集自体の価格を上げるとともに、印刷業者を変え、これまでの半額ほどで製本しました。これには京大・駒谷和範先生の多大な尽力がありました。また、大会業務に関しては極力外部業者に頼らずに、学生アルバイトで済ませました。行き届かない点があったかもしれませんが、お許しください。

 発表論文数は昨年よりわずかに減ったものの300件に近い数で、口頭発表は5つの並行セッション、ポスター発表は3部屋での並行セッションとなりました。予稿集も1200ページとなり、持ち運ぶこと自体がきつい2kgに達しました。製本版予稿集を値上げした代わりに、CD-ROM版の予稿集を参加者全員に配布しました。また、すべての口頭発表会場に各席に電源がある部屋を確保し、ノートパソコンで読みながら聴けるようにしました。さらに、慶大のインフォメーションテクノロジーセンターに大会期間中だけ有効なアカウントを用意してもらい、無線LANも使えるようにしました。実際多くの参加者がノートパソコンを持ち込んでいました。日吉キャンパスでもかなり大きな部屋を用意しましたが、チュートリアルでは満席となり座れなかった聴講者が出てしまいました。この場でお詫びする次第です。



□第12回年次大会 プログラム委員会からの報告

第12回年次大会プログラム委員長
河原達也(京都大学)

 年次大会も12回目を数え、言語処理研究者の間では定例行事として定着し たように感じられます。また、前任のプログラム委員会のご尽力により、理工 系以外の研究者の方の参加も増えつつあります。その反面、発表件数の増加に より、論文集が非常に分厚いもの(1200ページ超!)になり、赤字を生じる大 きな要因となっていました。今回はこれまでの慣習をふまえながらも、以下の ような新たな試みを導入しました。

(1)チュートリアルの複数トラック化
 今回初めて2トラックにし、ホットなトピックを提供するとともに、様々な 方の興味に対応できるようにしました。その結果、参加者が300名を超え、 前年までに比べて約3倍増となりました。特に、言語処理のための統計的モデ ルの最前線のレクチャーには大教室に収容しきれないほどの参加がありました。 これは財政的にも大きな貢献となりました。

(2)プログラム冊子の充実
 前年度に論文集のCD-ROM化が行われましたので、紙の論文集の必要性が小さ くなりました。ただし、聴講の際の利便性を考慮して、プログラム冊子を製本 体で作成し、著者索引なども追加しました。紙の論文集については、作成コス トを軽減し、値上げもすることで、単独で収支をほぼ均衡化(=購入者による 負担)を実現しました。パソコン用の電源がある会場を手配できましたので、 論文の閲覧もCD-ROMで問題なくできたものと思われます。

(3)企業協賛・広告の導入
 多くの国際会議に見られるように、企業からの協賛を募りました。今回は初 めての試みということで、プログラム委員会に加わって頂いた方の所属企業と 学会誌に広告を掲載されていた企業を中心にお願いしましたが、快く引き受け て頂きました。

 また、前年度に導入されました学際的なテーマセッションも2つ開設すると ともに、招待講演には、大津由紀雄(慶応大)、前川喜久雄(国語研)の両先 生にお願いしました。その結果、発表件数は295件と前年度並みでありまし たが、本会議の参加者は707名に達し、(過去最大の前年よりさらに150 名も多い)空前の規模となりました。会員数が約800名の学会としては異例 と思われます。

 本会議の翌日に行われたワークショップも、「感情・評価・態度と言語」と 「言語処理と情報可視化の接点」の2件が行われ、それぞれ100名を上回る 参加があり盛況でした。

 このように言語処理研究の活況が強く感じられた大会でしたが、規模の拡大 につれて、プログラム編成の難しさ(並列セッション間でできるだけ競合が生 じないようにする)や、様々なトラブル対応(部屋を間違える発表者がいたな ど)が増大しました。本学会は事務局がなく、引継ぎも難しいことから、この ような手順や対応などに関して明確な方針を定めて、文書化しておく必要があ ると考えられます。

 実は私自身、本学会の年次大会に参加した経験があまりなく、事情に疎かっ たのですが、プログラム委員の皆さんの献身的な働きにより、大成功のうちに 終えることができました。また、実行委員長の斎藤博昭先生には、非常に便利 な会場を手配して頂くとともに、想定外ともいえる規模の参加者への対応に、 大変な負担をかけることになりました。ここに深い感謝の意を表したいと思い ます。



□言語処理学会 第12回通常総会報告

日時 2006年3月15日 (水) 13:00− 14:00
会場 慶應義塾大学(日吉キャンパス) 第4校舎 B棟 1階 J11教室

 総会に先立ち、2005年論文賞2件と昨年第11回年次大会の優秀発表賞 6件の表彰式が行われました。

 続いて定足数の確認を行い、会場への出席者51名に議長への委任状を提出 した137名を加えて正会員186名の出席を得たことから、定足数(正会員 数676名の10分の1)に達するこが確認され、第12回通常総会が開催さ れました。中川会長を議長として選出し、下記の議題の審議が行われました。

2005年度事業報告
中川会長より2005年度の事業報告がありました。

2005年度決算報告
仁科財務担当理事から2005年度の決算報告、引き続き江原監事より監査報告が 行われ、承認されました。

2006年度事業計画
中川会長より2006年度事業計画の説明があり、承認されました。

2006年度予算案
仁科財務担当理事から2006年度の予算案について説明があり、承認されました。

会則変更
会則第4章第11条(役員および評議員の構成)において「顧問は5名以内」 と定めているところを「顧問については特に人数制限を設けない」に変更する ことが理事会から提案され、承認されました。以上、ご報告いたします。

(総務担当理事 丹羽芳樹)



□第12回年次大会 優秀発表賞選考について

第12回年次大会プログラム委員長
河原達也(京都大学)

 言語処理学会年次大会優秀発表賞は、年次大会において、論文の内容および プレゼンテーションに優れたものと認められた発表論文に与えられる賞です。 また、優秀発表賞のうち特に優れたものがあれば、最優秀発表賞として選定す ることが前年度からとりいれられました。

 ここ数年の年次大会における発表論文の増加をうけまして、今回、優秀発表 賞の選考方法について検討を行い、選考過程を定めた優秀発表賞規定の付則に ついて以下のように改定しました(規定の文面は次回理事会で審議予定)。

  1. 選考委員会の構成はプログラム委員会にて決める。
  2. 一般発表およびポスター発表の各セッションにおいて、選考委員会で選 んだ複数名(およそ2名)の選考委員が優秀論文2件以内を10点満点で点数 をつけて推薦する。なお、選考委員には当該セッションの座長を含んでよい。 また、選考委員は担当セッション以外のセッションの論文の推薦もしてよい。
  3. 大会終了後、速やかに選考委員会を開催し、2.で推薦のあった発表論文 を中心に審議し、優秀論文賞候補を決定し、理事会に提案する。授賞の件数は、 総発表件数の100分の2を目処とする。また、最優秀発表賞は1〜2件程度 を目処とするが、該当なしの場合もありうる。

 今回の改定のポイントは、2.の最後の部分の追加と、3.の件数に関する 記述です。従来に比べて、選考の柔軟性を図るとともに、授賞件数も増やせる ようにしました。今回の年次大会では295件の発表がありましたので、授賞 件数は5〜6件を目処としました。

 まず、68名の選考委員からの最初の推薦(上記2.の過程)の結果、59 件が選考対象となりました。次に、選考委員会において、これらに対する投票 (上記3.の過程)の結果、非常に高い得票を得た上位2件を最優秀発表賞、 それに続く4件を優秀発表賞として推薦することとしました。これらは、分野 (申込み時の大分類)のバランスもとれていました。

 6月9日に開催された理事会におきまして、これらを推薦・諮問し、承認を 得ました。以下が、第12回年次大会において優秀発表賞に選ばれた論文です。


 なお、最優秀発表賞は前年度該当なしでしたので、今回が初の授賞となりま す。来年の年次大会の際に開催される総会におきまして、上記の受賞者に対す る表彰が行われる予定です。

 本選考に関しましては、プログラム委員会の中で、中野幹生、乾健太郎、加 藤直人の3氏が担当されました。また、68名にも及ぶ選考委員の方のご協力 を頂きました。感謝申し上げます。



□2005年、第12巻論文賞(既報)

論文誌編集委員長 池原悟(鳥取大学)
  1. 受賞論文
    1. 著者:河原 大輔(東大)、黒橋 禎夫(東大)
         題名:格フレーム辞書の漸次的自動構築
         掲載:第12巻2号
    2. 著者:Yinghui Xu(豊橋技術科学大)、Kyoji Umemura(豊橋技術科学大)
      題名:Improvemrnts of Kats K Mixture Model
         掲載:第12巻5号
  2. 選考過程
    1. 選考に先立って<選考基準の改定>
       従来、自然言語処理での採録論文は年間約30件であり、この中から1件を 対象に論文章を推薦することとなっていた。最近、掲載論文が増加したため、 編集委員会でこの規定を見直した結果、掲載論文30件程度に対して1件を推 薦することを提案し、理事会の了承を得た。

       平成17年度の採録論文は54件であるので、新規定に基づき、2件をめど に論文賞を推薦する計画で1月に選考を開始した。
    2. 第1次選考
       期間内の採録された論文54件の中で、査読結果が4点以上(5点満点)の もの26件を対象に、1論文当たり2名の編集委員が読み直し、10点満点で 採点してもらった。但し、特集号掲載論文の読み直しは、特集号の編集委員の 方に担当してもらった。
       その結果、大賞候補を、得点順位が二位までの論文10件に絞り込んだ。
    3. 第2次選考
       第1次で絞り込んだ10件の論文すべてを通常号の編集委員全員(12名) が読み直し、一人2件の範囲で投票を行った。その結果、過半数の得票を得た 2件の論文を論文賞に推薦した。
       但し、1回投票で決まらなかった候補もあったため、それについては、上位 に絞って決戦投票を行った。
    4. 評議会承認
       編集委員会から上記の過程を経て推薦され、理事会で承認された上記論文に ついて、評議会で2005年度論文賞を授与することが了承された。
    (2006年3月15日、通常総会に先立って、表彰式が行われました。)



□IMTでの英語論文公開について

 言語処理学会、ヒューマンインタフェース学会、情報処理学会、映像情報メ ディア学会、人工知能学会、日本ソフトウェア科学会は、情報科学技術情報を 世界に向けて発信するために合同で編集運営会議(「IMT編集運営会議」)を 2005年10月24日付けで設立し、IMT編集運営会議に参加する学会が刊行した英 文論文のリプリントを束ねた合同アーカイブ(IMT: Information and Media Technologies」)を公開する準備を進めていましたが、このたび6月15日付で IMTに収録された57編のリプリントがJ-STAGEから公開されましたので、ここに ご案内申し上げます。

 なお、言語処理学会からは2005年に掲載された英語論文5件がIMTより公開さ れております。

 IMTに含まれている論文はインターネット上で無料で閲覧できますので、今 後、掲載論文のビジビリティが高まっていくことが期待されます。

 詳細については以下をご覧ください。
(担当理事 中岩浩巳)



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