国際会議参加レポート企画として,今回は昨年10月に名古屋で開催された「IJCNLP2013」と,その直後に米国シアトルで開催された「EMNLP2013」の2つの国際会議の参加レポートをまとめてお送りします.
今回の会議報告は,第2回と同じように情報処理学会自然言語処理研究会と連携して企画しました.2014年2月6日に国立情報学研究所で開催された第215回自然言語処理研究会では,今回寄稿いただいた方々の中のお二人に論文紹介という形で発表していただきました.なお,当日の発表スライドのpdf ファイルは自然言語処理研究会の第215回研究会プログラムのページからご覧いただくことができます.
第4回 IJCNLP2013
江原遥 IJCNLP2013参加報告(その1)-概要-
URL: http://www.anlp.jp/doc/IC/ICreportv04/ijcnlp2013-1.pdf
中澤敏明 IJCNLP2013参加報告(その2)-Best Paper と機械翻訳の論文-
URL: http://www.anlp.jp/doc/IC/ICreportv04/ijcnlp2013-2.pdf
第5回 EMNLP2013
河原大輔 EMNLP2013参加報告(その1)-概要-
URL: http://www.anlp.jp/doc/IC/ICreportv05/emnlp2013-1.pdf
江原遥 EMNLP2013参加報告(その2)-NLP Applications 分野の論文紹介-
URL: http://www.anlp.jp/doc/IC/ICreportv05/emnlp2013-2.pdf
乗松潤矢 EMNLP2013参加報告(その3)-統計的機械翻訳関係で面白そうな論文をいくつか紹介-
URL: http://www.anlp.jp/doc/IC/ICreportv05/emnlp2013-3.pdf
(担当編集委員 乾孝司,船越孝太郎)
言語処理学会第20回年次大会(NLP2014)を北海道大学において以下の要領により開催いたします.
◯ 大会Webサイト
大会Webサイトは,以下のURLで開設しています.順次,情報をアップデートいたしますので,こちらもご覧ください.
http://www.anlp.jp/nlp2014/
◯ 開催日時
2014年3月17日(月)- 3月21日(金)
3月17日(月) チュートリアル
3月18日(火) 本会議第1日
3月19日(水) 本会議第2日
3月20日(木) 本会議第3日
3月21日(金) ワークショップ
◯ 会場
会場: 北海道大学大学院工学研究院・大学院工学院・工学部
所在地:〒060-8628 北海道札幌市北区北13条西8丁目
アクセスは以下のHPをご覧下さい.
http://www.eng.hokudai.ac.jp/access/
【旅程について】
年次大会開催時期は,悪天候による航空機の欠航の可能性がありますので,大会参加日の当日現地入り予定の方は,可能であれば前日に札幌に来られることをお勧め致します.
【無線インターネットアクセスについて】
・年次大会期間中は,eduroamによる無線LANが利用可能です.eduroamに参加機関の皆様は,事前に,所属機関でeduroamのIDを取得することで,今回の会期期間中だけでなく,参加機関に出張の際などに,無線LANの利用が可能になります.
・eduroam参加機関の一覧
(http://www.eduroam.jp/participants/siteinfo.html)
をご確認になり,機関でのIDを取得して頂くことで,当日,臨時IDの発行などの手間なしで,無線LANが利用可能となります.
・参加機関での手続きについては,各機関ごとの手続きになりますので,関連部署にお問い合わせください.
・参加機関の方でも,参加機関以外の方と同じく,当日臨時IDによるアクセスを希望される方は,臨時IDを発行します.
◯ 今後のスケジュール
大会プログラムWeb公開 2014年 2月10日(月)(公開しました)
事前参加申込締切 2014年 2月19日(水)
予稿集Web公開 2014年 3月10日(月)
詳細につきましては,以下の大会ウェブサイトをご覧ください.
http://www.anlp.jp/nlp2014/
☆第20回年次大会 特別招待講演
言語処理学会20周年記念として,お二方をお招きし,ご講演いただく予定です.時間割等の詳細は追ってお知らせいたします.
2014年3月18日
講演者:長尾 真氏(京都大学名誉教授)
題目:NLPの過去,現在,将来
要旨:
1.NLPとMTの黎明期
2.NLP研究のこれまで
3.NLP研究の現在の特徴
スパコンの利用
著作権改正によるテキストの自由な利用
ネット上の膨大な言語表現の利用
4.NLPのこれから
言葉の意味とは何か
文法規則の見直し
辞書の再整理と用例重視
MTの展開
情報を捨てる技術
2014年3月20日
講演者:辻井 潤一氏(Principal Researcher, Microsoft Research Asia)
題目:言語処理における特殊と普遍 日本の研究と世界の研究
要旨:
言語処理は,個別言語の特殊性を取り扱う必要がある.このことが,言語処理研究を地域依存性の強いものとしている.この点では,言語処理研究は,社会学や歴史学という文科系の学問と似たところがある.ただ,個別の地域,時代に強く縛られ,反復性が少ない(ように見える)歴史の研究においても,科学としての普遍性を求めた歴史学の動きがあった.言語処理研究者は,日本語の特殊性と普遍性のある汎用技術という緊張感の中で研究を行っている.このジレンマは,研究の国際化,研究者の評価,研究がもつ社会的貢献など,研究を取り囲む現代的な問題とも緊密に関係する.研究自体の価値よりも,対象とする個別言語の経済的な力が,研究や技術の評価に強い影響を持ってしまう.本講演では,日本人研究者として,この特殊と普遍をどう感じ,捉えてきたかを話そうと思います.
☆第20回年次大会 チュートリアル
2014年3月17日(月),次の方々をお招きし,チュートリアルを頂戴する予定です.
○A会場:10:30-12:10
講演者:Kevin Duh氏(奈良先端科学技術大学院大学)
題目:Deep Learningの基礎と言語処理への応用
概要:
近年,Deep Learning (ディープラーニング,深層学習)という機械学習手法は注目を集めている.特に,音声認識やコンピュータビジョンの分野ではDeepLearningを導入することにより,飛躍的に性能が向上した.言語処理の分野にも,Deep Learningを取り入れた構文解析,意味解析,情報抽出,機械翻訳など,様々な研究が始まりつつある.本チュートリアルの前半で はDeepLearning の基礎となるRestricted Boltzmann MachinesやStacked Auto-encodersを説明する.また後半では,言語処理への応用をいくつか紹介し(成功例と失敗例を含む),今後の研究動向を概観する.
○A会場:13:20-15:00
講演者:高村 大也氏(東京工業大学)
題目:文書要約への数理的アプローチ
概要:
文書要約は,与えられた文書の主題をなるべく多く被覆した簡潔な要約文書を生成する研究課題である.例えば単純な分類問題などで定式化できるのは文書要約のごく一部であり,より複雑なモデルが必要とされる.本講演では,MMRなどの古典的な手法,グラフベースアルゴリズムに基づく手法,整数計画問題などの最適化問題に基づく手法など,ここ約10年間に提案された代表的な手法を紹介する.また,モデル,学習,デコーディングという要約生成のために必要な三要素のどの部分に,様々な要約研究が貢献しているかを整理する.それを踏まえ,文書要約研究の最先端では何が起こっているのか,次の10年間に何が起こるのかを議論する.本講演の前提知識は,言語処理の基礎,言語処理における分類問題を機械学習を用いて解く基本的なプロセスと考え方,整数計画問題の超初歩,PageRankアルゴリズムなどである.部分的ではあるが,構造学習についての基礎的な考え方を必要とする箇所もある.
○B会場:10:30-12:10
講演者:小林 哲生氏(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
南 泰浩氏(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
題目:幼児の言語発達研究:こどもが語彙を覚えていく道筋を探る
概要:
幼児の言語発達研究は,ヒューマン・サイエンス分野の難問である「言語の系統/個体発生」や「脳における言語処理過程」などを探る上で重要な研究分野である.従来は,発達心理学や心理言語学の分野を中心に,自然観察や言語解析などに基づいて研究が進められてきたが,近年は,認知科学や情報科学などの視点から大規模データ解析や実験的アプローチといった新しい手法による展開が起こっている.本講演では,こうした言語発達研究の新しい潮流について,日本語学習児を対象とした私たちの研究を題材に解説する.具体的には,個人を長期間追跡調査して得た縦断データの解析からわかってきた語彙発達の特徴とその個人差(語彙爆発の仕組み,語彙学習速度と品詞分布の関係性)や,語彙チェックリスト法で大規模に収集した横断データの解析からわかってきた語彙ごとの発達特性(語を理解してから発話するまでの時間成分に注目した品詞解析),精緻な実験心理学的アプローチにより得られた語彙学習方略の仕組み(統語的ブートストラッピング,形態統語情報の利用,育児語の特殊性)を紹
介する.また自然言語処理に関する技術を幼児言語発達に適用する場合の考慮点についても言及し,新しい展開に向けた指針を提案する.
○B会場:13:20-15:00
講演者:丸山 史郎氏(株式会社Preferred Infrastructure)
題目:文法圧縮入門:超高速テキスト処理のためのデータ圧縮
概要:
文法圧縮とは,入力テキストをよりコンパクトな文脈自由文法(CFG)に変換する圧縮法の総称である.文法圧縮の強みは圧縮テキストを展開すること無く,検索等のテキスト処理を効率よく行える点にある.驚くべきことにその処理速度は,元テキスト上での同じ処理を理論的に,時には実際にも凌駕する.また近年,ウェブアーカイブやログ,ゲノム配列等の大規模実データを高効率に圧縮できることで注目を集めている.しかしながら,文法圧縮についての初学者向けの解説資料はまだまだ少ない.そこで本チュートリアルでは,文法圧縮の歴史的背景から最新動向までを幅広く紹介する.具体的には文法変換アルゴリズム,圧縮テキスト上での文字列パターン検索,文法圧縮に基づく省メモリデータ構造等の解説を行う.
☆ 参加登録
事前参加登録は,2014年2月19日(水)までに,以下の大会Webページからお願いいたします.
http://www.anlp.jp/nlp2014/#entry
※今回の年次大会より「参加登録システム」と学会の会員データベースとを「連動」させて会員価格適用等を判断しています.このため以下の点にご注意ください.
(1)会員価格の適用を希望される場合は,原則,2013年12月31日までに2014年会費をご納入ください(学会の会費は前納制となっており,会計年度は1月始まりです).
(2)年次大会参加のために学会に新規入会される方は,参加申し込みの前に入会手続きと会費の納入をお願いします.振込のあと事務局側で入金を確認できるまでに4営業日程度かかりますので,遅くとも2014年2月12日(水)までに入会申し込みをお済ませ下さい.事務局側で会員データベースへの登録が完了した時点で会員として参加登録可能になります.
◆参加費
会員種別,申込時期によって,以下の参加費をいただきます.
一般会員:事前登録3,000円(不課税),当日受付6,000円(不課税)
学生会員:事前登録1,500円(不課税),当日受付3,000円(不課税)
賛助会員:事前登録3,000円(不課税)
非会員:事前登録7,000円(税込),当日受付10,000円(税込)
非会員(学生):事前登録3,000円(税込),当日受付6,000円(税込)
・チュートリアル,ワークショップの参加は,本会議参加費に含まれます.
・チュートリアルまたはワークショップのみ参加・聴講する場合も,本会議参加費が必要です.
・賛助会員価格(割引)は,事前登録のみ設定します.当日受付の場合は,非会員扱いとします.
・当日の受付作業の軽減のため,できるだけ,事前登録をお願いします.
☆ 大会予稿集
本大会では,大会の1週間前(2014年3月10日(月)予定)に予稿集をWeb上で公開する予定です.CD-ROMは作成しませんのであらかじめ予稿集をダウンロードして大会にいらっしゃるようお願いします.ダウンロード・サイトの情報については参加申し込みをいただいた時にお知らせします.印刷製本版の予稿集も作成いたしませんのでご注意ください.
☆ 懇親会(事前登録のみ/当日受付なし)
日時:3月19日(水)19:00-
会場:サッポロビール園(〒065-0007 北海道札幌市東区北7条東9 2 10)
(カニ・お寿司の食べ放題,その他20品程度,飲み放題付き)
形式:立食
参加費
一般会員:6,000円(税込)
学生会員:4,000円(税込)
賛助会員:6,000円(税込)
非会員:6,000円(税込)
非会員(学生):4,000円(税込)
注意事項
・懇親会は,本会議参加者のみが参加することができます.懇親会にのみ参加することはできません.
・懇親会への参加希望は,先着順で受け付けます.会場の最大収容人数を超えた場合は,お断りすることがありますので,あらかじめご容赦願います.
・会場の都合上,会期中(当日)の参加申込は受け付けませんので,事前予約をお願いします.
・懇親会会場への移動は,各自でお願いします.
◯ 委員一覧
大会実行委員会
委員長 |
菊井 玄一郎 |
(岡山県立大) |
委員 |
荒木 健治 |
(北大) |
|
奥村 学 |
(東工大) |
|
小原 京子 |
(慶応大) |
|
加藤 恒昭 |
(東大) |
|
颯々野 学 |
(ヤフー) |
|
佐藤 理史 |
(名大) |
大会プログラム委員会
委員長 |
奥村 学 |
(東工大) |
副委員長 |
加藤 恒昭 |
(東大) |
委員 |
飯田 龍 |
(東工大) |
|
石川 開 |
(NEC) |
|
乾 孝司 |
(筑波大) |
|
岩倉 友哉 |
(富士通研) |
|
内田 ゆず |
(青山学院大) |
|
荻野 紫穂 |
(武蔵大) |
|
川添 愛 |
(NII) |
|
小町 守 |
(首都大) |
|
佐々木 稔 |
(茨城大) |
|
笹野 遼平 |
(東工大) |
|
嶋田 和孝 |
(九工大) |
|
西川 仁 |
(NTT) |
|
Graham Neubig |
(奈良先端大) |
|
平尾 努 |
(NTT) |
|
船越 孝太郎 |
(HRI) |
|
増市 博 |
(富士ゼロックス) |
|
水野 淳太 |
(NICT) |
|
横野 光 |
(NII) |
|
吉田 稔 |
(徳島大) |
|
渡辺 太郎 |
(NICT) |
アドバイザ |
徳永 健伸 |
(東工大) |
大会実施委員会
委員長 |
荒木 健治 |
(北大) |
委員 |
伊藤 敏彦 |
(北大) |
|
吉岡 真治 |
(北大) |
|
Rafal Rzepka |
(北大) |
|
木村 泰知 |
(小樽商科大) |
|
桝井 文人 |
(北見工業大) |
|
Michal Ptaszynski |
(北見工業大) |
|
越前谷 博 |
(北海学園大) |
◯ 問い合わせ先
お問い合わせは次のメールアドレスにお願いいたします.
言語処理学会第20回年次大会 プログラム委員会 委員長 奥村学
Email: nlp2014-inquiry@googlegroups.com
「自然言語処理の発展に向けた情報共有・討論」
[趣旨]
大学,学生,企業などの異なる立場の研究者が集い,今後の自然言語処理の方向性や研究テーマ,社会のニーズ,お互いの期待や要求などを共有し議論する場が,今後の自然言語処理の発展のために有益かつ必要であると考え,本ワークショップを企画いたします.
本ワークショップでは,自然言語処理の発展につながる内容についての発表を幅広く募集します.発表はいくつかのセッションにわけ,各セッション後に議論の時間を設ける予定です.
※ 詳細につきましては,次のページをご覧ください.
https://sites.google.com/site/nlp2014ws/
[提案者]
飯田龍(東京工業大学)
岩倉友哉(富士通研究所)
高橋哲朗(富士通研究所)
徳永健伸(東京工業大学)
西川仁(NTT)
藤田篤(公立はこだて未来大学)
船越孝太郎(HRI)
戸次大介(お茶の水女子大学)
松林優一郎(東北大学)
宮尾祐介(NII)
持橋大地(統数研)
森信介(京都大学)
第20回通常総会を下記の要領で開催いたします.2013年度論文賞および第19回年次大会優秀賞の表彰式も行います.会員の皆様はぜひご参加下さい.
・ 日時: 2014年3月19日 (水) 13:10 - 14:10
・ 会場: 北海道大学 工学部 B1棟 オープンホール
・ 総会次第
1. 会長挨拶
2. 年次大会優秀賞・論文賞の表彰
3. 2013年度活動報告
4. 2013年度決算報告,監査報告
5. 2014年度活動計画
6. 2014年度予算案
7. 2014年度評議員構成,役員構成
8. その他
中西印刷株式会社 言語処理学会事務局
〒602-8048 京都市上京区下立売通小川東入ル
e-mail nlp (at) nacos.com
ニュースレター担当理事
颯々野 学 (ヤフー株式会社)
e-mail msassano (at) yahoo-corp.jp