言語処理学会第23回年次大会(NLP2017)を筑波大学において以下の要領によ り開催いたします.本大会は筑波大学との共催で開催されます.
◯ 大会Webサイト
大会Webサイトは以下のURLにて開設しています.順次,情報をアップデートい
たしますので,こちらもご覧ください.
http://www.anlp.jp/nlp2017/
◯ 開催日時
2017年 3月13日(月)〜 3月17日(金)
3月13日(月) チュートリアル (13:00-17:00)
3月14日(火) 本会議 第1日 ( 9:00-18:30)
3月15日(水) 本会議 第2日 ( 9:00-17:40)
3月16日(木) 本会議 第3日 ( 9:00-18:50)
3月17日(金) 特別ワークショップ ( 9:35-11:25)
◯ 会場
筑波大学 筑波キャンパス 春日エリア
所在地:〒305-8550 茨城県つくば市春日1-2
(つくばエクスプレスつくば駅から徒歩7分)
◯ 予稿集
本大会では,大会の1週間前(2017年3月6日(月)の予定)に予稿集をWeb上で 公開する予定です.CD-ROMは作成しませんのであらかじめ予稿集をダウンロー ドして大会にいらっしゃるようお願いします.ダウンロード・サイトの情報に ついては参加申し込みをいただいた後にご連絡いたします.印刷製本版の予稿 集も作成いたしませんのでご注意ください.
◯ 今後のスケジュール
予稿集Web公開 2017年3月6日(月)
● チュートリアル
3月13日(月)には,以下の4つの分野のチュートリアルを行う予定です.
・3月13日(月)13:00-14:45 A会場(春日講堂)
◆講演者:馬場 雪乃 氏(京都大学)
◆題目:ヒューマンコンピュテーションとクラウドソーシング
◆概要:
ヒューマンコンピュテーションとは,コンピュータだけでは,あるいは人間だ
けでは解決が難しい問題を,コンピュータの計算能力と人間の判断能力を組み
合わせて解決しようという考え方である.不特定多数の労働力を獲得するため
の仕組みであるクラウドソーシングの普及も後押しとなり,人工知能分野にお
いて,ヒューマンコンピュテーションの研究が活発に行われている.ヒューマ
ンコンピュテーションの実現において特に重要なのは,人間の判断の信頼性保
証である.本チュートリアルでは,ヒューマンコンピュテーションとクラウド
ソーシングの基礎と応用を解説するとともに,機械学習を用いて,複数の人間
の判断を統合して判断の信頼性を向上する技術と,複数の人の中から信頼性の
高い判断者を見つけ出す技術を紹介する.また,機械学習のためにヒューマン
コンピュテーションを活用する研究についても紹介する.
・3月13日(月)13:00-14:45 B会場(A205)
◆講演者:金山 博 氏(日本IBM東京基礎研究所)
田中 貴秋 氏(NTTコミュニケーション科学基礎研究所
◆題目:Universal Dependenciesと日本語
◆概要:
Universal Dependencies (UD)は,複数の言語の構文を共通化した構造で表現す
ることにより,他の言語のコーパスを用いた言語横断的な学習,言語間の定量
的な比較などを可能にするための枠組みである.2016年末現在,日本語を含む
約50の言語に対してタグセットの定義や言語資源が公開されている.日本語に
ついては,講演者らのチームで仕様の策定や言語資源の作成を行っている.本
講演では,これまでの議論や現状の言語資源を紹介し,日本語を題材とした研
究の活性化を目指す.
・3月13日(月)15:15-17:00 A会場(春日講堂)
◆講演者:中澤 敏明 氏(JST)
◆題目:ゼロから始めるニューラルネット機械翻訳
◆概要:
ニューラルネットワークを利用したEnd-to-Endの機械翻訳(Neural network Machine Translation,NMT)が提案されてからまだ2,3年ほどしか経過していな
いが,20年以上研究されてきた統計翻訳(Statistical Machine Translation, SMT)の精度を大きく上回ったという報告が多く挙がっている.また2016年11月
にGoogle翻訳が日本語を含む8つの言語を対象にNMTの提供を開始したというニ
ュースは大きな話題となり,その精度の向上ぶりには一般ユーザーだけではな
く,翻訳関係者や研究者にも衝撃を与えた.本チュートリアルではSMTと比較し
ながらNMTの仕組みを解説し,その翻訳精度や現状のNMTで一般的に問題となっ
ている点について述べ,これらの問題点に対する最新の研究成果を紹介する.
またオープンソースのNMTシステムを紹介し,今後NMTとどう向き合うべきかを
議論する.なお本チュートリアルではニューラルネットワークの基礎の解説は
行わない.
・3月13日(月)15:15-17:00 B会場(A205)
◆講演者:西村 義樹 氏(東京大学)
◆題目:文法と意味:認知言語学の視点
◆概要:
1.認知言語学のどこが「認知」的なのか?:同じく言語知識の解明を目指す生
成文法との根本的な違いは何か?
2.言語を用いたコミュニケーションにおいて伝達されるメッセージを言語の知
識に属する部分(コンテクスト中立的/意味論的な意味)とそれ以外の部分(コ
ンテクスト依存的/語用論的な意味)に二分することはできるのか?
3.そもそも(狭義の)文法とは何か? すべての言語の知識に(語彙に加えて)
文法があることの意義は何か?
4.文法と意味はどのような関係にあると考えるのが適切なのか?
5.文の意味を決定する要因として真理条件以外に何がどうして必要なのか?
6.語彙的な知識と文法的な知識はどのような関係にあるのか?両者は別個の領
域なのか,それとも,(スペクトルにおける緑と青のように)連続体を構成し
ているのか?語彙項目の意味と語彙項目(例えば動詞)が生じる構文の意味は
どのように関係しているのか?
● 招待講演
以下の2件の招待講演を行う予定です.
・3/14(火) 9:30-10:30 A会場(春日講堂)
◆講演者:後藤 真孝 氏(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)
◆題目:「音楽情報処理の最前線を紹介しつつ言語処理との接点を探る」
◆概要
デジタル化された音楽コンテンツが持つ潜在的な可能性は,まだ充分には引き
出されていない.従来は多量のコンテンツに受動的にアクセスできる量的な変
化(コンテンツ数が増える変化)が中心であった.次の段階は,「コピー不可
能な能動的体験」により価値を創出する質的な変化(体験の質が変わる変化)
であり,それこそがデジタル化の本質である.その実現を目指した音楽情報処
理研究の最前線を紹介し,そうした潜在的な可能性をいかに引き出すか,もは
や全貌がつかめない日々生まれる膨大なコンテンツをいかに視聴するか,人々
が気軽に楽しめる形でいかに創作を支援するかを議論する.その上で,言語処
理との接点を探り,音楽情報処理に言語処理が活用されている事例等を紹介す
る.最後に,技術の力で未来を切り拓くことを志して,学術論文で知見を共有
するだけでなく,技術の使われ方を提示したり,技術を直接利用可能にしたり,
他の技術を創出可能にしたりするアプローチについても議論する.
◆略歴
1998年早稲田大学大学院 理工学研究科 博士後期課程修了.博士(工学).同
年,電子技術総合研究所に入所し,2001年に改組された産業技術総合研究所に
おいて,現在,情報技術研究部門 首席研究員 兼 メディアコンテンツ生態系
プロジェクトユニット代表.JST ACT-I「情報と未来」研究総括,IPA未踏IT人
材発掘・育成事業PM,統計数理研究所 客員教授,筑波大学大学院 教授(連携
大学院)を兼任.日本学士院学術奨励賞,日本学術振興会賞,ドコモ・モバイ
ル・サイエンス賞 基礎科学部門 優秀賞,科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞,星雲賞【ノンフィクション部門】等,43件受賞.計算機によっ
てメディアコンテンツを自在に扱える技術の確立を目指し,音楽情報処理等の
研究を24年間推進.
・3/16(木) 14:00-15:00 A会場(春日講堂)
◆講演者:山梨 正明 氏(京都大学名誉教授,関西外国語大学教授)
◆題目
「認知言語学---言語科学の静かなる革命」
◆概要
認知言語学のアプローチでは,言語能力は,生物の延長としての人間の身体
性を反映する一般的な認知能力によって動機づけられ,認知能力からの発現の
一形態として位置づけられる.この視点は,身体性に関わる前-表象的,前-記
号的な生きた経験の場から,言語知識の発現と分節化のプロセスを根源的に問
い直していく立場を意味する.
認知言語学は,これまでの構造言語学,生成文法,等の言語学の研究パラダ
イムの基本的な前提に対する批判から出発し,経験科学としての言語学を根源
的に問い直す新しいパラダイムとして着実に進展している.認知言語学の研究
は,音韻・形態論,語用論,談話・テクスト分析,修辞学,言語類型論,言語習
得論,外国語教育,等に適用され,着実にその研究のスコープを広げ,学際的
で包括的な言語研究のアプローチとして(また経験科学としてより説明力をも
つ言語学のアプローチとして)進展している.本講演では,21世紀の新しい
言語学のパラダイムである認知言語学の基本的な考え方,方法論,具体的な研
究事例,等を解説しながら,今後の言語科学と認知科学の新たな探求の方向を
探っていく.
◆略歴
1948年静岡県生れ.1971年カリフォルニア大学 (言語学,B.A.),1972年ミシガ
ン大学 (言語学,M.A.),1975年ミシガン大学 (言語学,Ph.D.) .京都大学名
誉教授,現在 関西外国語大学教授.前日本認知言語学会会長,前日本語用論学
会会長.日本認知科学会フェロー.市河三喜賞を受賞.著書『発話行為』(大修
館書店),『比喩と理解』(東京大学出版会) ,『認知言語学原理』(くろしお出
版),『認知意味論研究』(研究社),『修辞的表現論』(開拓社),『自然論理と
日常言語』(ひつじ書房),ほか.編著 Cognitive Linguistics.(Vol.1〜Vol.5)
Edited by M.Yamanashi (London: Sage Publications, 2016).
◯ 参加登録
事前参加登録は2017年2月15日(水)で締め切られました.参加をご希望の場合
は,当日,会場受付にて参加の登録をお願いします.
◆ 参加費
会員種別によって,以下の参加費をいただきます.
一般会員:当日受付8,000円(不課税)
学生会員:当日受付5,000円(不課税)
非会員:当日受付15,000円(税込)
非会員(学生):当日受付8,000円(税込)
・チュートリアル,ワークショップの参加は,本会議参加費に含まれます.
・チュートリアルまたはワークショップのみ参加・聴講する場合も,本会議参
加費が必要です.
◯ 懇親会
日時:3月15日(水)18:30-20:30
場所:オークラフロンティアホテルつくば
すでに定員に達しており,参加申し込みを締め切らせていただきました.あし
からずご了解下さい.
◯ 委員一覧
大会委員会
委員長 加藤 恒昭 (東大)
副委員長 山本 和英 (長岡技科大)
委員 実行委員長 山本 幹雄 (筑波大)
プログラム委員長 相澤 彰子 (NII)
渉外 関根 聡 (NYU)
財務 永田 昌明 (NTT)
大会プログラム委員会
委員長 相澤 彰子 (NII)
副委員長 林 良彦 (早大)
委員 内山 清子 (湘南工科大)
大熊 智子 (富士ゼロックス)
大附 克年 (マイクロソフト)
岡崎 直観 (東北大)
狩野 芳伸 (静岡大)
後藤 功雄 (NHK)
小林 雄一郎 (東洋大)
貞光 九月 (NTT)
白井 清昭 (JAIST)
田中 貴秋 (NTT)
塚田 元 (豊橋技科大)
徳久 雅人 (鳥取大)
西川 仁 (東工大)
松吉 俊 (電通大)
宮崎 林太郎 (ヤフー)
宮部 真衣 (和歌山大)
三好 利昇 (日立製作所)
村上 明子 (日本IBM)
村上 浩司 (楽天技研)
横野 光 (富士通研)
吉岡 真治 (北海道大)
渡邉 陽太郎 (PKSHA Technology)
アドバイザー 森 辰則 (横国大)
大会実行委員会
委員長 山本 幹雄 (筑波大)
委員 宇津呂 武仁 (筑波大)
乾 孝司 (筑波大)
関 洋平 (筑波大)
若林 啓 (筑波大)
津川 翔 (筑波大)
○ 問い合わせ先
お問い合わせは次のメールアドレスにお願いいたします.
言語処理学会第23回年次大会 プログラム委員会
Email: nlp2017-inquiry@anlp.jp