事業担当理事・大会委員長 中野幹生(HRI-JP)
3月12日-15日に名古屋大学で開催される今年の年次大会まであと1か月ほどとなりました.すでにプログラムも公開されております(大会Webサイト http://www.anlp.jp/nlp2019/ をご覧ください).発表件数は398件となり,前回を大幅に上回りました.事前参加申し込み数も,本ニュースレター執筆時点では,前回より増加しております.多くの方にご発表・ご参加いただけることとなり,大変嬉しく思っております.なお,懇親会のチケットが早い段階で売り切れてしまい,申し訳ありませんでした.
今回の大会には,前回を上回る数の企業・団体の方々にスポンサーになって頂きました.大会関係者一同厚く御礼申し上げます.
規模が大きくなることで,大会委員,実行委員,プログラム委員,大会秘書,その他関係者の皆様には例年以上の負担をおかけすることになってしまいましたが,つつがなく開催できるよう,全力で準備を進めて下さっています.
託児サポートは,前回は冠スポンサー様の援助を得て実施しましたが,今回は年次大会の継続的な事業の一つとして行うこととしました.申し込み締め切りは3/4(月)となっております.
大会中,口頭発表,ポスター発表,その他のイベントを通して,様々な方と是非交流して頂きたいと思います.交流のきっかけが必要でしたら,お気軽に委員にご相談ください.本大会中の交流から,自然言語処理の新たな応用や研究の潮流が生まれましたら,望外の喜びです.本大会が,参加者の皆様にとって,有意義なものとなることを願っております.
プログラム委員長 佐々木裕(豊田工業大学)
次回の年次大会がいよいよ来月に迫ってまいりました.次回の年次大会は,2019年3月12日(火)〜15日(金)に名古屋大学にて開催いたします.2013年にも同じ名古屋大学で年次大会を開催しておりますので,投稿数が減少するのではないかという懸念がありましたが,実際には398件の投稿があり,前回の332件から大幅増となりました.これは自然言語処理の研究が益々活発になっていることの現れと感じております.
ご承知のように,第25回年次大会のホームページに,2名の招待講演,4件のチュートリアル,6件のテーマセッションの詳細を掲載しておりましたが,2月7日からは,大会プログラムを公開しております.魅力的な大会に仕上がっておりますので,多くの皆様の参加と活発な議論をお待ちしております.前回のニュースレターで中野大会委員長が書かれていたように,年次大会の規模が大きくなることは大変喜ばしいことなのですが,プログラム編成や大会賞の審査などプログラム委員の貢献度合いも大きくなってきております.この機会に,年次大会にまつわる環境と対応策について書かせていただこうと思います.
(1) 大会規模の拡大と会期短縮
今回,論文投稿数が増えているのにもかかわらず会期を短縮するという,一見矛盾した施策をとっています.その一番大きな要因は,大会の規模が大きくなることで,年次大会をホストできる会場が限られて来ているということにあります.過去に年次大会を開催できた会場であっても,現在の規模の大会は受け入れ不可能というお話も聞きます.さらに,規模だけではなく,開催地での運営にかかる負担も問題となってきました.これまで,年次大会はチュートリアル・ワークシ
ョップを含め5日間(本大会4日+ワークショップ1日)で開催しておりました.他学会の大規模な全国大会の会期が3〜4日であり,これまでの5日会期は現地の実行委員にとっては重い負担になっていました.年次大会の現地担当の実行委員は,この期間,本務を離れて会議の円滑な運営に携わる必要があり,3月の会期期間に確実に本務のスケジュールを空けられる実行委員を何名か確保するのは簡単ではありません. そこで,今回より会期4日でプログラムを編成することとしました.全体の大会期間が短縮されたことで,参加者との議論・交流の機会が減ったことを残念に思っている方も数多くいらっしゃることと想像します.ですが,会期を4日にして,実行委員会の負担を軽減することが,今後の開催地を確保するための重要な条件となっているのです.
会期を短縮するために,ワークショップをテーマセッションに統合しました.ワークショップがなくなったことに対して,独立にでもワークショップを開催したいというご要望も聞いています.それだけ参加者の皆さんの自然言語処理への熱意が高いということの現われですが,今回のテーマセッションの状況をみていただき,次の年次大会で改善していただければと思っています.投稿数の増加には,セッションの並列度を上げることで対応しました.セッションの並列度はこれまでの5並列から6並列に上がりました.並列度を上げることは,聞けないセッションが増えるということですので,好ましくはないのですが,口頭発表の枠を確保するという側面と,聴衆を分散させて会場の部屋の収容人数内に抑えるという側面があり,今後も避けられない状況です.
(2) プログラム編成と投稿種別
今回の大会プログラムの編成に満足いただいている方と不満を感じている方がいると思います.投稿数が増えると当然のごとくプログラム編成の労力も増します.1セッション4〜5件の枠に多様な内容の投稿を4時間程度の作業時間でクラスタリングしていくのはかなり骨の折れる作業です.投稿論文の中には制約がつけられているものもあり,かなり面倒な制約充足問題を解くことになります.プログラム編成後には,座長の調整,公開用大会HP作成,大会冊子の作成等がタイトなスケジュールで続いており,じっくり時間をかけてプログラム編成する余裕がないのが実情です.
今回から,投稿時に口頭発表かポスター発表か,どちらでもよいかを指定していただくことにしました.これは,プログラム編成時に,発表枠数の関係から,口頭発表の枠に入りきらない数の投稿があった場合に,口頭発表からポスターへの変更の自由度を確保するためです.現状のプログラム編成ではこのような保険をかけておかないと,プログラム編成が破綻する可能性があるところまで編成が難しくなっています.幸い,今回のプログラム編成では,「口頭発表」および「どちらでもよいが口頭発表」を指定いただいた論文は口頭発表枠に,「ポスター」および「どちらでもよいがポスター」を指定いただいた論文はポスター枠に割り当てることができました.今後も投稿数が増えるとすると,ご希望に合わせられない場合が発生することは十分に予想できますので,将来,発表種別変更の依頼がプログラム委員会からあった場合には,可能な限りご協力いただければと思います.
発表に関する制約については,中には「卒業式との競合」など仕方ないものもありますが,あまり制約が多いと対応しきれなくなる場合も存在します.投稿時点で,発表がいつになっても良いように会期中の予定を空けておいていただけるようお願いいたします.
(3) 大会賞とポスター賞
これまで大会賞として,優秀論文賞と若手奨励賞を選定してきました.今回も,すべての論文に対して各5名の審査員が1次審査を行い,評価の高かった論文に対する2次審査を経て大会賞を決定します.当学会では,優秀論文賞として上位2%,若手奨励賞として上位数件を選定しており,厳選した論文のみ表彰しております.このような大会賞の審査は論文原稿に対して実施しておりますので,大会前には確定しています.そのため,会期中の発表の良し悪しは評価に含まれていません.そこで,今回からポスター発表に対する賞を試行的に設定しました.ポスター発表の分かりやすさや工夫度合い,内容の面白さに対して,大会中にインターネットを通して参加者に投票していただき,投票数の多いポスター発表を表彰するというものです.ポスター賞は参加者全員で選ぶ賞となっています.ポスター発表は,全員が聴講できることから公平性が確保できます.ポスター賞には,ポスター発表に投稿論文を誘導したいというプログラム編成上の狙いもあります.
このように,今回の年次大会では,今後の年次大会を方向付けるための試行も含めた改革を行っております.さらなる改善点も必要であると思いますが,まずは一歩踏み出してみることが必要な状況になっておりますので,皆様のご理解とご協力をいただければと思います.
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