言語処理学会ニュースレター

Vol. 26 No. 3 (2019年10月15日発行)

目次

言語処理学会第26回年次大会(NLP2020)について
言語処理学会第26回年次大会(NLP2020)発表資格の変更について
言語処理技術セミナーについて
会誌「自然言語処理」投稿資格の変更について

□言語処理学会第26回年次大会(NLP2020)について

事業担当理事・大会委員長 新納浩幸(茨城大学)


次回の年次大会 NLP2020 は2020年3月16日〜19日に茨城大学水戸キャンパスで開催します.


まず,最初に2点注意させて下さい.1点目は発表申込の〆切の時刻です.例年,日付が変わるような時刻でしたが今回は15:00 です.2点目はNLP2020 から導入される発表者会員制限です.これは年次大会の発表者は言語処理学会の会員でなくてはならないという制限です.詳細は大会 HP(https://www.anlp.jp/nlp2020/)を参照して下さい.


さて,本題の年次大会ですが,現在,準備中です.準備は順調に進んでいます.私は大会委員長などという大役の経験がないので,当初,まともに開催できるのか非常に不安だったのですが,脇を固める優秀な秘書や委員の方々のおかげで,結構,いい形になりそうです.逆に今はちゃっかり開催を楽しみにしている状況です.ただ油断は良くないので,最後まで気を抜かずに,注意して進めていきたいと思っています.


特に注意しなければならないのは,年次大会の大きな変化です.私はNLP2020が今後の年次大会の大きなターニングポイントになると思っています.その要因は2つあります.1つは先ほど述べた発表者会員制限です.これは学会としてもかなり大きな改革であり,この影響で参加者の数や種別がどうなっていくかは予想できません.もう1つは運営体制です.NLP2020では,従来の個人のパフォーマンスやコミットメントに頼った運営から脱却し,サステナビリティを基本とした運営体制をとることにしました.皆さんもご存じの通り年次大会の参加者は年々増加し,規模も拡大しています.前大会では,参加者数は1,200名を超え,スポンサー数も65社・団体と過去最大でした.これはもう従来方式の運営が無理な数だと思います.特に大会秘書の業務は激増かつ複雑化しており,現在の特定個人の能力に頼った体制では早晩破堤します.そのため,今後,大会秘書業務は業者に委託する方針をたてました.NLP2020では委託業者を選定し,本年度は,その業者に秘書業務の引き継ぎを主とした業務を依頼しました.また会場設営や当日運営も実行委員や学生アルバイトだけでは負担が大きく,かつ円滑な進行にも不安があり,ここも業者を主とした形にしました.更に,従来,実行委員は現地会場となる大学の方にお願いしていたのですが,今後,そのような方が確保できる保証はありません.そのためNLP2020では実験的に遠隔地の方も実行委員に加わってもらいました.


こういった大きなターニングポイントとなる大会で,私が目指したのは「無難な開催」です.これは5月の理事会で私が宣言したNLP2020の目標です.NLP2019で掲げられた「出会いの場を作る」「自然言語処理の研究を網羅し,日本独自の研究を増やす」「効率的な運営を行う」の目標と比べると,なんだかふざけた目標ですが,真面目です.前述したような年次大会の大きな変化の中で,年次大会を無難に開催することは,大雑把でずぼらな私が目標として設定できるぎりぎりのラインです.変更しなければならない部分は極力抑え,基本,従来通りで進める方針にしています.「無難な開催」の上で,参加者目線に立ち,発表者・講演者・聴講者・スポンサーの皆さん,そして委員も,新しい技術や人と出会える場を提供できたらと考えています.


令和最初の年次大会です.東京オリンピックの年でもあります.そのような年に,私の所属である茨城大学において年次大会を開催できることは大きな喜びです.NLP2020が無事開催できるよう,関係者一同,準備を続けますので,多くの皆さんがNLP2020に参加してくれることを心より願っております.


最後に宣伝ですが,10/4にNLP2020の1回目のCFPが配布されました.そこでは,テーマセッションの提案(11/11まで)とチュートリアル・招待講演の推薦(10/18まで)の募集がされています.スポンサーの申し込み受付ももうすぐ始まります.こちらの件も,どうぞよろしくお願いします.



□言語処理学会第26回年次大会(NLP2020)発表資格の変更について

言語処理学会理事会
言語処理学会第26回年次大会委員会


2020年3月に開催する第26回年次大会より,一般セッション(口頭発表,ポスター発表)の申し込み資格を変更します.具体的には,発表者(登壇者またはポスターの主発表者)は言語処理学会の会員(正会員または学生会員)であり,かつ,当該年(2020年)の年会費を納入済であることを条件とします.前回の年次大会までは共著者の中に会員が含まれていることが条件でしたが,今大会から条件が変わりますので,ご注意ください.


なお,テーマセッションでの発表は,会員資格の有無を問いません.


(背景説明)


第25回年次大会(2019)の発表件数は398件,参加者数1275名にのぼりました.その時点での会員数は987名でしたので,これらの数は,かなりいびつであると言わざるを得ません.年次大会の規模が拡大することは望ましいことですが,その一方で,開催の負担は増加の一途をたどっています.


年次大会の目的は,会員の皆様に発表の場と交流の場を提供することにあります.非会員の方の発表枠を確保するために,大会のスケジュールが窮屈になったり,大会実行委員会に過度の負担が発生したりするは,本末転倒と言わざるを得ません.理事会では,ここ数年の年次大会の開催状況および実行委員会の負担等を勘案し,上記のような発表資格を設定することとしました.


同時に,会員の権利を享受しながら,当該年度の会費を払わず,会費未納で会員資格を喪失する(いわゆる自然退会)方が,毎年かなりの数にのぼる現状を憂い,当該年度会費納入済を条件に加えました.すでにご存知とは思いますが.本学会は,会員の皆様に会費の前納をお願いしています.


前年末までに会費を納めていただいている会員の皆様には,何の変更もありません.これまで通り,発表を申し込んでいただければ,年次大会で発表できます.また,テーマセッションに関しては,他の学協会・研究分野との連携を考慮し,発表資格には条件を設定しません.


本学会は,会員のボランティア(無給)で運営する互助組織です.近年の状況の変化に対し,このような変更を行うことにご理解を賜りたく存じます.



□言語処理技術セミナーについて

事業担当理事 中野 幹生(HRI-JP)


昨年開催し好評だった産業界向けのセミナー「言語処理技術セミナー」を,今年も11月29日(金)に渋谷ソラスタコンファレンス(東京)で開催します.


近年の人工知能ブームの中で,言語処理技術への産業界からの期待が高まっています.自然言語のデータを処理するシステムや,自然言語を用いた人間と機械のインタフェースを開発することで,新たな製品・サービスや業務の効率化につながると期待されています.しかしながら,実際にどのような言語処理技術が使えるかや,アカデミアの研究と実際の応用とのギャップなどについて,あまり知られていないのが現状です.


そこで,言語処理学会では,昨年,産業界の方に言語処理技術の現状を知って頂くためのイベントとして「言語処理技術セミナー」を開催し,言語処理技術の概要とその応用に関して講師の方々にわかりやすく解説していただきました.昨年のセミナーが非常に好評であったこと,また,多数の参加申し込みがあったため,早々と締め切らざるを得なかったことから,今年も本セミナーを実施することとしました.


本年は,昨年講師を務めて頂いた須藤克仁氏(NAIST),金山博氏(日本IBM),徳久良子氏(豊田中研)に引き続き講演をお願いすると共に,山下達雄氏(ヤフー)に実際のサービスに言語処理技術を適用した際のご経験をお話して頂くことで,さらにパワーアップした内容になる予定です.


参加申し込み〆切は11月7日ですが,定員(120名)に達し次第締め切らせて頂きますので,参加ご希望の方は,お早目にお申込み頂けますようお願い申し上げます.また,言語処理技術にご興味をお持ちのお知り合いがいらっしゃいましたら,本セミナーをお知らせ頂けますと幸いです.



□会誌「自然言語処理」投稿資格の変更について

会誌編集委員長 黒橋禎夫(京都大学)


会誌「自然言語処理」の投稿資格について,従来何ら制限がありませんでしたが,「著者のうち1名以上が本学会会員であること」と改めました.また,プレプリントを含む先行研究に対する考え方を整理しました.いずれも学会ホームページの原稿執筆案内に記載していますのでご確認下さい.


https://www.anlp.jp/guide/guideline.html



学会に関する問い合わせ先

中西印刷株式会社 言語処理学会事務局
〒602-8048 京都市上京区下立売通小川東入ル
e-mail nlp (at) nacos.com

ニュースレター担当理事
山本 和英 (長岡技術科学大学)
e-mail yamamoto (at) jnlp.org