大会委員長・事業担当理事 新納浩幸(茨城大学)
言語処理学会第26回年次大会は3月16日から19日に茨城大学水戸キャンパスで開催されます.準備は順調に進んでいます.皆さまにとって,きっと何らかのプラスになる大会であると信じていますので,是非,ご参加下さい.
大会の内容については,大会Webサイト(https://www.anlp.jp/nlp2020/)に詳しく案内されています.詳細はそちらをご覧下さい.概略,ほぼ例年通りです.特に目新しい企画などはありません.これは前回のニュースレター(https://anlp.jp/guide/news/v26n3/)で書いたように,NLP2020は「無難な開催」を目指しているので,その結果です.ただ目新しさはないかも知れませんが,細かいところではいくつか気を配った設定をしています.例えば以下のような点です.
・公式twitter(@NLP_2020)を立ち上げて,タイムリーに大会に関する有益情報を提供しています.公式twitterはNLP2019から始まったのですが,今年も継続しました(などとえらそーに言っていますが,実は,私はtwitterができないので,これは副委員長のIBMの金山さんにお願いしています).
・水戸駅と茨城大学間に朝夕のシャトルバスを設けました.シャトルバスはお金がかかるので,当初,私は消極的だったのですが,他の委員の方々が強く推すのでやることにしました.ただ,今はこの施策は良かったと思っています.念のため,全員乗れるとは限らないので,ご注意下さい.
・懇親会の定員は500名です.懇親会はいつも早い段階で定員に達して,参加できない人が多数出るので,NLP2020は大きな会場を借りました.おかげで現段階でもまだ席が少し残っていますが,このニュースレターが送られるときには埋まっていると思います.
・ポスター会場は体育館です.当初,私は従来通り,どこかの教室で段ボール板をポスターボードにして実施しようと考えていました.ただ,NLP2019の参加者からの最大の不満がポスター会場の混雑であったため,「従来通り」の方針に背いて思い切って体育館でやることにしました.ただ小さい方の体育館しか借りることができなかったので,どれくらい問題が解消できるのか心配ですが,少しは改善されると思っています.
他にも,ポスター賞の投票方法や大会優秀賞の選定方式など,NLP2019で得た大会運営・設定の反省をもとに,いろいろと改善できる部分は改善されています.内容は従来通りかも知れませんが,そこそこよい感じに仕上がっていると思います.
また大会の規模ですが,当初,発表者会員制限のために,発表者が激減することが心配されたのですが,フタを開けてみれば,発表申込は397件もありました.この数はNLP2019の発表件数398件とほぼ同じです.これに関連して学会の会員数も,大きな壁であった「会員数1,000名」をあっさり超えることができました.この点だけでもNLP2020の開催意義を謳えると思います.またスポンサー数やその支援額も過去最大であったNLP2019のものを既に超えています.ただ参加者数については,昨年の記録を更新するのは難しそうですが,この規模で開催できれば私は大満足です.ともかく大会の規模も悲観するような状態にならず,むしろ,賞賛されるレベルになりそうです.本当に大会関係者や参加者の皆さまに感謝いたします.
開催まであと約1ヶ月です.私のことですから,最後に大きな失敗がありそうですが,大丈夫だと思います.各委員や秘書が非常に優秀ですから,きっと滞りなくすばらしい大会が開催できると思っています.私は大会を楽しみにしています.皆さんもぜひご参加下さい.
プログラム委員長 白井清昭(北陸先端科学技術大学院大学)
次回の年次大会がいよいよ来月に迫ってまいりました.これまで,第26回年次大会のホームページにおいて,2名の招待講演,4件のチュートリアル,5件のテーマセッションの詳細を掲載しておりました.2月10日からは大会プログラムを公開しております.今回は397件の発表申込があり,過去最高だった前回の398件とほぼ同じ発表件数となりました.これは昨今の自然言語処理の研究分野の隆盛の現れと感じております.
発表件数が増えることは望ましいことではありますが,一方で大会の規模が大きくなるについて,プログラム編成や大会の円滑な運営が難しくなる面もあります.プログラム委員会では,開催年毎に委員が入れ換わってはいきますが,理事会が主導する大会委員会と連携しつつ,プログラム編成,招待講演・チュートリアルなどの企画,大会賞の選考などについて,より良い方法を常に模索しています.この場を借りて,今回の年次大会で取り組んだ新しい試みについてご説明したいと思います.
(1) 発表資格の変更
今大会から一般セッション(口頭発表,ポスター発表)の発表資格が変更されました.これまでは共著者の中に言語処理学会の会員が含まれることが条件となっていましたが,今回から,発表者が言語処理学会の正会員または学生会員であり,かつ当該年の年会費を納入済であることが条件となりました.変更の背景には,年次大会の本来の目的である「会員の皆様に発表の場と交流の場を提供すること」に立ち戻りたいという思いがあります(詳しくは Vol.26 No.3 のニュースレターをご覧下さい).プログラム委員会ではウェブページやTwitterなどを通じて発表資格の変更の周知に努めて参りましたが,さしたる大きな混乱もなく発表申込受付が完了し,繰り返しになりますが昨年とほぼ同数の397件の発表申込がありました.皆様のご理解とご協力に深く感謝いたします.
(2) プログラム編成
今回のプログラムでは,口頭発表は7つのセッションが並列して行われます.口頭発表の並列数が7になるのは今回が初めてです.並列数を上げることは,聞けない発表が増える可能性が高くなりますので,望ましい状況ではありません.しかし,近年は参加者も大幅に増えており,立ち見でセッションを聞いている参加者もたくさんいるような状況ですので,並列数を上げて聴衆を分散させることも必要なことと考えています.
一方,ポスター発表の数も近年は急激に増加しており,ポスター発表の会場が狭いという意見も数多く聞いておりました.今回は,ポスター会場として茨城大学の体育館を使わせていただけることになりましたので,例年よりは広いスペースが確保できています.ただし,体育館のような広いスペースを毎回利用できるとも限りませんので,今後もなるべく余裕のある空間でポスターセッションを実施できるよう工夫します.
(3) 大会賞
年次大会では,発表論文の中から特に優れた論文・著者に対し,優秀賞,若手奨励賞を授与しています.大会賞の選考は,これまで1次選考と最終選考の2段階で実施していましたが,今大会では実質的に1次選考のみで実施しています.また,審査員による評価点のばらつきを抑えるため,一般化線形混合モデルによる評価点の補正も試みる予定です.大会賞の選考では,発表申込締切から年次大会開催までの短期間に400件近い論文を審査することが求められており,審査員の負担が大きいことが問題となっていました.最終選考を廃止し,1次選考にかける時間を長くすることで,審査員の負担を間接的に軽減することが狙いです.1次選考のみでは審査の質が落ちるという懸念もある一方,これまでの2段階の審査では最終選考に携わる少数の審査員の好みが反映される可能性があるという面もあり,個人的には一長一短があると思っています.現在,およそ200名の審査員の方に審査を依頼し,大会賞の選考を進めています.選考の結果は大会のクロージングで発表します.
(4) ポスター賞
ポスター賞は,ポスターセッションの活性化のために,ポスターの内容の分かりやすさ,デモンストレーションに工夫があるかなど,プレゼンテーションスキルを評価し,優れたポスター発表者に与えられる賞です.受賞者は参加者の投票によって決まります.ポスター賞は前回のNLP2019から始められた企画ですが,初回ということもあり,参加者を対象とした事後アンケートでは様々な問題点をご指摘いただきました.皆様のご意見を踏まえ,今回は選考方法を少し変えています.投票方法は,前回はウェブページ上での投票(電子投票)でしたが,今回は紙での投票になります.投票用紙は参加証につけて配付します.また,前回はセッション毎に得票の多い方にポスター賞を授与していましたが,今回は全てのポスター発表から得票の多い方を選びます.参加者は,全てのポスター発表を対象に,気に入った発表者に5票まで投票することができます.年次大会に参加される方は是非とも投票をお願いいたします.
プログラム委員会ではプログラム編成を始めとする様々な業務がありますが,プログラム委員の面々はボランティアでこれらの業務に携わっています.各々,年次大会を盛り上げたいという思いで,年次大会が魅力的な大会になるように尽力しています.参加者の皆様におかれましては,セッションでの討論や他の参加者との意見交換などを通じて大会を盛り上げていただき,年次大会が皆様にとって実りのあるイベントになれば幸いに存じます.皆様の参加を心よりお待ちしています.
中西印刷株式会社 言語処理学会事務局
〒602-8048 京都市上京区下立売通小川東入ル
e-mail nlp (at) nacos.com
ニュースレター担当理事
山本 和英 (長岡技術科学大学)
e-mail yamamoto (at) jnlp.org