言語処理学会ニュースレター Vol. 7 No. 2 2000 年 7 月 21 日 言語処理学会 The Association for Natural Language Processing (http://www.crl.go.jp/nlp) 言語処理学会事務局: 〒152-8552 東京都目黒区大岡山 2-12-1 東京工業大学 大学院情報理工学研究科 計算工学専攻 田中研究室内 tel: 03-5734-3046, fax: 03-5734-2915 http://www.crl.go.jp/nlp 内容: □ 新会長就任挨拶 □ 会長退任挨拶 □ 第6回通常総会報告 □ 第6回年次大会優秀発表賞 □ メイリングリストについてのお知らせ ---------------------------------------------------------------------- ・第6回通常総会が6月13日(火)に東京大学山上会館で開催されました. ・飯田会長が退任され,辻井副会長が新会長に就任されました. ---------------------------------------------------------------------- =================================== 会長に就任することになって 辻井 潤一 言語処理学会も,すでに3代の会長の時代があって,4代目に私が就任するこ とになりました.理事,評議員の先生方には,ご意見やご協力をいただくこと になると思います.よろしく,お願いします.また,なによりも,まず会員各 位の活発な学術活動があっての学会ですから,これらからの2年間,会員各位 には,その創意と熱意で助けていただくことになるかと思います.よろしくお 願いたします. 本学会は,いうまでもなく,文科系,理科系,理論家,実践家という,背景の 異なる人たちが,言語という対象を共有することで,意見を交換し,お互いの 研究成果を分かち合う場である,という点にあります. この学際という特徴は,近年,学融合,文理融合,産学の連携など,さまざま に言葉を変えてもてはやされていますが,そう簡単に進まないものであること は,本学会員の多くが実感していることかと思います.背景の違いからの価値 観や方法論の差は,ともすれば,他分野の研究に非寛容な態度をとる原因にも なります.よほど善意の,心の開いた研究者でも,無意識に非寛容な態度をとっ てしまいます. また,寛容な態度というのは,科学的な真理や実践・経験からの実感を裏切っ て,相手の分野にすり寄ることでもありません.みずからの知見を最大限に相 手に理解してもらうための,あるいは,相手の論理を最大限理解しようとする コミュニケーションの中にこそ,学際(あるいは,学融合, 産学の連携)の 成果が上がるのでしょう. ここ数年,従来の意味での学際だけでなく,言語を取り巻く研究の地平が急速 に広がり,従来にも増して,理論と実践,理科系と文科系,言語と非言語的な もの,作ることと知ることの相互交流が活発化しています.本学会のこれまで の実践が,その本当の価値を示す時期が到来してきたといえるでしょう.分野 や背景,目的を超えたコミュニケーションの場としての学会の機能を,これま でにも増して大切にしていきたいと思っています. 学会の機能のもう一つに,職能者集団としての機能があります. 言語のもつ重要性の故に,言語に関する研究は,従来の枠を超えて,メディア 研究,HCI,情報検索,IT技術,大脳生理学,音声処理,認識・知識の科学な ど,さまざまな分野に広がっています.もちろん,これらの分野を単一の学会 が覆うことは難しく,隣接学会との協力を進めていくことが重要なことは言う までもありません.ただ,同時に,我々としては,言語という視点から多様な 問題を把握していくことで,我々の学術分野を豊かにしていくこと,ひいては, 分野の重要性を社会にアピールしていくことも,学会の重要な使命ではないか と思っています. 幸い,前会長の努力により,本学会は学術会議が認知する学会となり,職能集 団としての学会として意見をいう,公式の場が与えられました.この公式の場 だけでなく,今後,さまざまな活動を通して分野をプロモートしていくことも, 学会としてやっていきたいと思っています. 上の2つの点以外にも,学会員各位が学会に期待されていることは多くあるか と思います.学会員間の意見交換を活発し,学会員各位の学術活動を手助けで きる学会になれば,と思っています. これからの2年間,よろしくお願いします. =================================== 会長を退任して 飯田 仁 任期2年の会長を先月6月13日の総会で退任いたしました.その間,副会長 であった時期も含めて,言語処理学会が公に認知されるように努めてきました. 結果として,特許庁から学術研究団体の指定を受け,ならびに日本学術会議か ら学術研究団体として情報学と情報工学の両専門分野への登録が認められまし た.一方,学会内の活動においては,編集委員会のご努力により雑誌「自然言 語処理」の発行が軌道に乗り,年次大会についても大会毎のプログラム委員会 と実行委員会の企画により安定した規模の大会が実現できるようになっていま す.このような状況ですから,学会運営上の難問に出くわすと言うこともなく, 前に向かって進んでいけば良かったのだと思い返しています.財政の面でも, 会員数が微増を続けていることから予算措置で困ることもなく,年々繰越金が 僅かずつ増加しています.別刷り代の収入や年次大会の黒字が少額積み重なっ てきたのがその一因です.ところが,実態はもう少し余裕があり,その主たる 要因は何かと見ていきますと,役員さんたちが無報酬で,かつ手弁当で学会運 営に参加してくれていることです.つまり,無報酬の労働力提供により,本来 あるべき支出分がセーブされています.このニュースレターに掲載される総会 報告において,繰越金が意外に大金であることに気づかれると思います.この 繰越金が生まれる背景をご理解いただきたいと思います. 今,軌道に乗った雑誌といいましたが,通常号のほかに特集号を出すことも積 極的に進めました.その理由のひとつには,工学の自然言語処理だけに閉じる ことなく,言葉を対象とする研究という点で,国語学,言語学から音声処理, 情報検索までをも広く議論していける場が必要だからと考えました.工学の立 場からは,実世界で使える技術,それを支える理論を追究することになります が,そのような技術や理論は自ずと明快であり,具体的な装置としても計算量 の少ない‘省エネ’タイプにつながると考えられます.その点で,まずは理論 的追究が欠かせないと考えています.しかし,その一方で,確立した理論や技 術があっても,その使い方や他への適用の仕方が明確にできないまま,その意 義を正しく理解されないことも多いかと思っています.つまり,実世界で生か される応用や利用の仕方をもっと追究しなければいけないことがあるだろうと 思います.たとえば,TM(Translation Memory)などについて大いにその使い方 が議論されるべきだろうと考えます.このように,より学際的な研究推進が必 要になると共に,工学的にはマン−マシン・インタフェース充実のための柔軟 な言葉の理解・生成とマン−マシン間のインタラクション機構が益々求められ るようになると考えています.ところで,最近,電車の中で「1億総中流の崩 壊」という経済誌のキャッチコピーを目にしました.この内容を説明する必要 はありませんが,研究活動の面では,確かに米国DODのDARPAの研究費配分を決 定する担当者が「評価システムのない研究領域に予算を出すわけにいかない」 と言っています.ある研究領域に予算を投下し,個々の研究を評価しながら全 体の方向付け・効率的な成果獲得をしようという狙いがあります.言語処理技 術を追究する場合には,そしてカナ漢字変換や自動翻訳などの性能表示を,家 電製品や車などと同じように明確にしていこうとすれば,それらの技術評価が 必要になります.しかし,新しい研究領域を切り拓く可能性がある理論やモデ ルの研究,あるいは実験室環境下での成果などについては,まだ評価の対象で はなく,何が明らかにされたのかなどの知見を蓄積していくことが重要と考え ます. 言語処理学会が対象とする研究領域は,今お話ししましたように,理論・モデ ルの研究から,技術の評価システムまでを求められる広範囲に及んでいるとい えます.これは言語を対象にすることから自ずと発生してくる特徴だと思いま す.その点,これまでの年次大会におけるチュートリアルでは,言語学・言語 処理・音声処理・音韻論などの広範囲に渡る研究テーマを対象に研究活動を紹 介してきました.また,これからの話しとして,先の総会で決定した論文賞の 設置においては,その選定基準を広い視野から議論できるようにしていくこと が望ましいと思われます.従来からの検討事項であります英文ジャーナルの発 行の検討についても,従来の縦割り研究領域の枠に縛られることがない,広く 議論できる研究成果を採り上げていける国際雑誌として刊行できればうれしい と感じているところです.そして,前述しました学会が保持しているお金をこ のような雑誌刊行に一部生かしていくことも一案と考えます.さらに,論文賞 の副賞設置を検討する余裕があると思います.今後の検討事項かと思いますが, チュートリアル以外にもサマースクールなどを企画し,会員が広く議論できる 場を学会が資金援助して提供していくことも望まれると考えます. 最後になりますが,学会発足以来,学会活動を軌道に乗せることが大きな仕事 でした.これからは学会活動の有意義なあり方を考えていかねばならないと感 じるところです.今後は,顧問として微力ながら言語処理学会の活動をお手伝 いさせていただきます.これまでの皆様のご援助に感謝いたします. =================================== 第6回通常総会報告 小林哲則 去る6月13日,正会員207名(委任状180名を含む)の出席を得て,通常総会が 開催され,以下に示す1999年度の事業報告と2000年度の事業計画が承認されま した。 第6回通常総会次第 日時:2000年6月13日(火)16時〜17時 会場:東京大学 山上会館 2F 会議室201+202 (東京都文京区本郷7-3-1) 総会次第 1. 開会 2. 会長挨拶 3. 第6回年次大会優秀発表賞授賞式 4. 議長選出 5. 1999年度活動報告 6. 1999年度決算報告,監査報告 7. 2000年度事業計画提案 8. 2000年度予算計画提案 9. 2000年度評議員構成 10. 2000年度役員構成 11. 閉会 --------------------------------------------------------------------- 1999年度事業報告 1. 概要 本年度も理事会および編集委員会を中心に,学会の基盤作りと活動領域の拡大 を進めました. 会誌に関しては, 通常号のほかに,「談話・対話の言語学的, 心理学的モデル」「テキスト要約のための言語処理」の特集号を企画・発行い たしました.また,英文誌の刊行につきまして,昨年度に引き続き検討をすす めてまいりました.今後は詳細を詰めていくことになりました. 年次大会に関しては, 昨年度に引き続き, 言語学系と情報・情報工学系の研究 者の交流や突っ込んだ議論ができるようプログラムを編成しました. チュート リアルでは,音声認識の基本手法と意味論の変遷と現状を取上げ,より広い視 野で言語処理研究に取り組めるよう配慮いたしました. その他,査読システムの電子化に向けて精力的な検討を進め,次年度から試験 運用を始めることになりました.また,9月には日本学術会議の学術研究団体 として承認されました.それに伴い,情報学ならびに情報工学の各専門領域に 対して,学術会議会員候補を選定し,その推薦人を届け出ることができるよう になりました.学会の研究活動が認められたものと捉えております. 2. 会員現況(2000年3月31日現在) 正会員 627名 学生会員 112名 賛助会員 18組織 (22口) 定期購読会員 37組織 (38口) 3. 会誌の発行 ◇第6巻第3号(1999/4/10発行,通巻20号) 巻頭言,論文9編,入会案内・執筆案内等会告 ◇第6巻第4号(1999/7/10発行,通巻21号) 特集号:「談話・対話の言語学的,心理学的モデル」 巻頭言,論文5編,技術資料1件,入会案内・執筆案内等会告 ◇第6巻第5号(1999/7/10発行,通巻22号) 巻頭言,論文5編,入会案内・執筆案内等会告 ◇第6巻第6号(1999/7/10発行,通巻23号) 特集号:「テキスト要約のための言語処理」 巻頭言,論文5編,技術資料1編,入会案内・執筆案内等会告 ◇第6巻第7号(1999/10/10発行,通巻24号) 巻頭言,論文6編,入会案内・執筆案内等会告 ◇第7巻第1号(2000/1/10発行,通巻25号) 巻頭言,論文2編,技術資料2件,入会案内・執筆案内等会告 商業的であっても,研究に有用なものであれば会誌への広告掲載ができるもの とし,ニュースレターおよびホームページに案内を出しております. 広告掲載の詳細に関しては下記のURLをご参照下さい. (http://www.crl.go.jp/nlp/guide/keisai) 4. 第6回年次大会の開催 ◇開催期日: 2000年3月6日(月)〜10日(金) ◇会場: 北陸先端科学技術大学院大学 (〒923-1292 石川県能美郡辰口町旭台1-1) ◇プログラム [チュートリアル講演] 3月6日(月) 「隠れマルコフモデルとは何か/何に使えるか」 北陸先端科学技術大学院大学 教授 嵯峨山茂樹氏 「言葉の意味を計算機で扱う」 京都大学 講師 黒橋禎夫 氏 「最近の形式意味論の展開: 認知意味論との接点を求めて」 中京大学 教授 白井賢一郎 氏 [招待講演]3月8日(水) 「待遇表現行動の多様性」 国立国語研究所言語行動研究部 部長 杉戸清樹 氏 [一般発表 ポスター発表] ポスター発表26件 [一般発表 講演発表] 講演発表102件 ◇併設ワークショップ 3月10日(金) 「情報抽出--現状と今後の展望--」発表8件 ◇参加者数 会員 非会員 予稿集 正/学生 一般/学生 合計 のみ チュートリアル講演 62/16 13/31 122 36 本会議 122/20 38/77 257 49 併設ワークショップ 40/10 11/10 71 36 ◇年次大会優秀発表賞 第6回年次大会プログラム委員会は年次大会優秀発表賞選定委員会を兼ねて審 議を進めた結果,次の講演発表を第6回年次大会優秀発表賞として選定しまし た. 「大規模コーパスからの格フレーム辞書構築とこれを用いた格解析」(A1-4) 河原大輔,鍛冶伸裕,黒橋禎夫(京都大学) 「最大エントロピーモデルに基づく形態素解析と辞書による影響」(B5-1) 内元清貴(通信総研),関根聡(NYU),井佐原均(通信総研) 5. ニュースレターの発行 1999年度はニュースレター Vol.6 No.2--4, Vol.7 No.1 の4号を発行し,学 会運営,学会誌論文募集,大会案内,学会主催・共催の催しなど会員への各種 情報の提供を行いました. 6. 会議 ◇理事会 計5回の理事会を開催し,新入会員の承認,年次大会の方針の決定,学会活 性化の具体策の審議などを行いました.英文誌の発行に向けた取り組みを進め ました. 理事会開催: 第31回(1999年6月7日,東工大), 第32回(1999年7月26日,国際文化会館), 第33回(1999年8月30日,国際文化会館), 第34回(1999年12月20日,国際文化会館), 第35回(2000年3月7日,北陸先端大) ◇評議員会 1999年6月7日(金)14:00〜15:00に開催し,2000年度以降の評議員改選手順を決 定しました.賛助会員の増員に向けての取り組みについて議論しました. ◇編集委員会 計5回の編集委員会を開くと共に,電子メールによる処理も併用して,充実し た査読,迅速な掲載を行いました.また,2件の特集号,談話・対話の言語学 的,心理学的モデル」および,「テキスト要約のための言語処理」を発行しま した. 編集委員会開催: 第27回(1999年4月23日 東大理学部) 第28回(1999年7月9日 東大理学部) 第29回(1999年10月8日 東大理学部) 第30回(2000年1月7日 東大理学部) 第31回(2000年3月27日 東大理学部) (1) 編集委員会の体制の再編について これまで,編集委員には任期がなく,編集委員の数が多い割に一部の委員には 多くの負荷がかかっていましたが,H11年度は,これを見直し,以下のように 体制を整えました. ・常時,出席できる方,10名程度で委員会を構成する. ・編集委員の任期を2年とし,1年で半数交代となるよう編成する. ・査読委員を設け,査読者が不足する分野を補強する. これにより,迅速で公正な論文査読および適切な会誌の発刊に務めてきました. (2) 電子査読システムについて 査読の迅速化を図るため,電総研のシステムを使用させていただき,電子査読 システムの方法を試行することになりました. なお,これにともない投稿時には紙の原稿に加え,電子ファイル(デフォール トは pdf形式,やむを得ない場合はプレインテキスト形式)の論文原稿も当面, 編集長に送付するように変更する予定です. ◇年次大会プログラム委員会 電子メールを使った会議,ならびに協議を主にして,年次大会の準備を進めま した.委員会の開催はプログラム作成時に1回行いました. 7.評議員選挙 2000年度評議員選挙の結果,20名の新任評議員を選出しました. (1) 選挙権総数(2月28日現在 会員数) 583票 (選挙有効定足数 59票 = 正会員総数の1/10以上) ・投票数 238票(投票率 41%) (2)開票結果 (当選必要得票数 120票=有効投票数の過半数以上) ・理事会推薦候補者20名の得票 最少224票〜最多231票 (理事会推薦候補者以外を指定した投票はありませんでした) (3) 選挙結果 理事会推薦候補者20名は,選挙権総数の10分の1以上の投票を得て,投票総数 の過半数を越える票を獲得し,全員が当選しました. 以上 --------------------------------------------------------------------- 1999年度決算報告(1999.4.1--2000.3.31) 収入科目 個人会費 4,860,900 賛助会費 1,097,500 特殊購読費 350,000 別刷り代 2,096,500 第6回年次大会収入 2,750,551 雑収入 237,477 雑収入−通帳清算分 2,951,956 合 計 14,344,884 前年度繰越収支差額 13,131,314 収入合計 27,476,198 支出科目 (1)論文誌印刷/配送費 4,041,000 (2)論文誌編集費 489,270 (3)業務委託費 1,500,175 (4)通信費 113,565 (5)理事会/編集委員会費 100,170 (6)第6回年次大会開催費 2,642,218 (7)諸経費 98,393 (8)別刷り代援助資金 30,000 当期支出合計 9,014,791 次年度繰越収支差額 18,461,407 支出合計 27,476,198 --------------------------------------------------------------------- 2000年度事業計画 1. 運営・活動方針 言語処理学会の主要活動であります論文誌の発行が定着し,通常号のほかに特 集号を適宜発行することができるようになりました.また,年次大会において も開催場所などに関わりなく一定数以上の論文発表が行なわれ,音声処理・言 語学・言語処理のそれぞれのチュートリアル・セッションに多数の会員が参加 するようになり,分野横断的に会員相互の情報交換を進める場が定着してきた とみております.本年度は,論文誌の査読システムの電子化への移行を積極的 に検討し,査読作業の効率化と簡便さを目指すと共に,掲載論文の言語資源と しての利用形態について課題を整理し,具体的な実施法を取りまとめてまいり ます.さらに,前年度より引き続き,英文誌発行のための具体的要件を整理す ることに努め,実現に向け努力してまいります.学会の会計につきましても, 会員の微増,掲載論文数の定着,さらには役員ならびに編集委員等のボランティ ア活動により,年度繰越金が微増を続けており,健全な会費運営がなされてお ります.今後は,その取り扱いを十分議論して,会員皆様にとって有益な活用 法を探ってまいります.また,海外の関連学会との協力関係の在り方などを前 年度に引き続き探ってまいります. 2. 会誌の発行 通常号のほか,特集号を発行します.自然言語処理分野で世界的な英文論文誌 の発行を目指します.現在の日本語論文誌の電子化を目指し,引き続き検討を 進めます. ◇第7巻第2号(200/4/10発行,通巻26号)(発行済み) 巻頭言,論文7編,訂正記事,入会案内・執筆案内等会告 ◇第7巻第3号(2000/7/10発行予定) ◇第7巻第4号(2000/10/10発行予定) ◇第8巻第1号(2001/1/10発行予定) ◇「パーサ特集号」 年末に発行予定 3. 第7回年次大会の開催 ◇開催期日: 2001年3月26日(月)〜30日(金) ◇会場: 東京大学 駒場キャンパス (東京都目黒区駒場3-8-1) ◇プログラム [チュートリアル講演]3月26日(月) 3件 [招待講演]3月27日(火) 2件 [一般発表 講演発表] 3月27日(火)〜29日(木) 発表予定件数 140件 [一般発表 ポスター発表] 3月27日(火)〜29日(木) 発表予定件数 40件 ◇併設ワークショップ 3月30日(金)にワークショップの開催を企画します. 4. 会議 ◇総会 通常総会を昨年度と同時期に開催します. ◇理事会 昨年度同様に開催します.英文誌の発行に向けての体制作りを進めます. ◇評議員会 総会に合わせて2000年度の第2回会合を開催します.賛助会員の増員に向けて の具体的な施策,学会全体の活動強化に向けた施策のほか,英文誌への取り組 みについて議論します. ◇編集委員会 編集委員会を会誌の発行に合わせて開催し,電子メールを有効に使って迅速, かつ充実した査読を行います.特に,査読管理の電子化を進め,一層のサービ ス向上に努めます.英文論文誌について引き続き検討を進めます.新年度は, パーサに関する特集号を予定しています. ◇論文賞選定委員会(仮称) 論文賞選定委員会(仮称)を設け,理事会が定める規定に基づいて優秀な論文 に賞を与えます. 5. ニュースレターの発行 WWWホームページ,学会メーリングリストと連携し,ニュースレターの電子化・ 電子配布体制の一層の整備を進めます.特別に希望のある会員を対象として郵 送配布を継続して行います. 6. 名簿の発行 名簿の改訂版を発行します.(前回は1998年9月発行) 7. 2000年度評議員構成(別紙参照) 2名の留任評議員を役員に選出したため,この2名が評議員を辞退します. 8. 2000年度役員構成(別紙参照) 2000年度第1回評議員会(2000年5月19日開催)において,別紙の役員が選出され ました. 任期を終える会長・副会長が交替し,7名の留任理事に加え,6名の新任理事と 3名の顧問を設けます. 以上 ----------------------------------------------------------------------- 2000年度予算(2000.4.1--2001.3.31) 収入科目 個人会費 4,800,000 (学生会員) 400,000 賛助会費 1,000,000 特殊購読費 350,000 別刷り代 1,600,000 第7回年次大会収入 3,500,000 雑収入 60,000 合 計 11,710,000 前年度繰越収支差額 18,461,407 収入見込計 30,171,407 支出科目 論文誌印刷配送費 4,000,000 論文誌編集費 480,000 業務委託費 1,500,000 通信費 550,000 理事会/編集委員会/評議員会費 150,000 7回年次大会開催費 3,500,000 別刷り代援助資金 150,000 諸経費 1,300,000 合 計 11,630,000 次年度繰越収支差額 18,541,407 支出見込計 30,171,407 ----------------------------------------------------------------------- (別紙)言語処理学会2000−2001年度評議員一覧 1998−2001年度評議員(留任) 石川 徹也(図情大) 江原 暉将(NHK) 奥村 明俊(NEC) 亀田 雅之(リコー) 神門 典子(情報学研) 北 研二(徳島大) 清野 正樹(松下) *郡司 隆男(神戸松蔭女子大) 斎藤 博昭(慶大) 佐藤 滋(東北大) *島津 明(北陸先端大) 鈴木 克志(三菱電機) 武田 浩一(日本IBM) 冨浦 洋一(九大) 中澤 恒子(東大) 中村 順一(京大) 松本 裕治(奈良先端大) 宮崎 正弘(新潟大) 柳田 益造(同志社大) 計19名 (50音順) *役員就任のため辞退 2000−2003年度評議員(新任) 荒木 健治(北大) 宇津呂武仁(豊橋技大) 荻野 綱男(都立大) 柏野和佳子(国語研) 片桐 恭弘(ATR) 河原 達也(京大) 木下 聡(東芝) 金水 敏(阪大) 白井 清昭(東工大) 白井賢一郎(中京大) 白井 諭(ATR) 田中久美子(東大) 東条 敏(北陸先端大) 仁科喜久子(東工大) 西野 文人(富士通) 丹羽 芳樹(日立) 八木沢津義(キヤノン) 矢田部修一(東大) 山本 秀樹(沖電気) 余田 直之(三洋電機) 計20名 (50音順) ----------------------------------------------------------------------- (別紙)言語処理学会2000−2001年度役員一覧 役員名 氏名(所属) 会長 *辻井 潤一(東大) 副会長(編集担当兼務) *島津 明(北陸先端大) 理事(編集担当) 田窪 行則(九大) 理事(編集担当) 池原 悟(鳥取大) 理事(編集担当) *郡司 隆男(神戸松蔭女子大) 理事(事業担当) 井佐原 均(通信総研) 理事(事業担当) 浦谷 則好(ATR) 理事(事業担当) 岡田 直之(九工大) 理事(事業担当) *板橋 秀一(筑波大) 理事(事業担当) *佐藤 理史(京大) 理事(渉外担当) 橋田 浩一(電総研) 理事(渉外担当) *加藤 安彦(国語研) 理事(渉外担当) *林 良彦(NTT) 理事(総務・財務担当) 小林 哲則(早大) 理事(総務・財務担当) *徳永 健伸(東工大) (以上15名) 監事 榑松 明(電通大) 監事 白井 克彦(早大) (以上2名) 顧問 長尾 真(京大) 顧問 田中 穂積(東工大) 顧問 *飯田 仁(ソニーCSL) (以上3名) 会誌編集委員会2000−2001年度 総編集長 *島津 明(北陸先端大) 編集長 *中川 裕志(東大) *は,2000年度からの新任 ----------------------------------------------------------------------- (別紙)1999年度会費納入状況 (2000年3月31日現在) 会員総数 納入済み 未納件数 (うち海外) 件数 (住所不明数) 正会員 627名(13名) 555 72(48) 学生会員 112名(6名) 75 37(35) 賛助会員 18社(1社)22口 22 0 購読会員 37社 38口 32 6 合計 794件 684 115 ----------------------------------------------------------------------- (別紙)言語処理学会 第6回年次大会 収支報告 (2000年4月30日現在) 科目 内訳 金額(円) 収入 本大会参加費(257名) 1,068,000 チュートリアル参加費(122名) 352,000 ワークショップ参加費( 71名) 228,500 懇親会参加費(73名) 250,000 本大会発表論文集売上(51冊) 215,000 チュートリアル資料売上(36冊) 126,000 ワークショップ論文集売上(37冊) 131,000 シャトルバス乗車賃(のべ760名) 380,000 北陸先端大からの支援金 204,000 普通預金利息 51 収入合計 2,954,551 支出 講演料・講師旅費 198,860 懇親会・招待講演会場費 42,295 控室用備品代 35,656 予稿集残部送料 3,390 学生アルバイト謝金(12名) 216,000 懇親会飲食代 223,000 シャトルバス貸切料・通行料 562,300 論文集印刷費 999,495 大会業務委託費用 478,398 大会当日参加登録業務/旅費・宿泊費 85,370 予稿集販売業務委託費用 1,454 支出合計 2,846,218 収支 + 108,333 (注)1999年度決算報告書収入項目には,北陸先端大からの支援金204000円を 計上していない。同支出項目には,シャトルバス貸切料562300円中204000円を 除いた358300円を計上している。 =================================== 第6回年次大会優秀発表賞選考について 第6回年次大会プログラム委員長 井佐原均 本年3月に開催された第6回年次大会優秀発表賞を以下のように決定致しまし た. ○受賞発表: A1-4 「大規模コーパスからの格フレーム辞書構築とこれを用いた格解析」 河原大輔, 鍛冶伸裕, 黒橋禎夫(京都大学) B5-1 「最大エントロピーモデル基づく形態素解析と辞書による影響」 内元清貴(通信総研), 関根聡(NYU), 井佐原均(通信総研) ○経緯: ・大会会場でのアンケートと,理事,プログラム委員,座長による大会後の推 薦により,6件の発表が候補となりました. ・この6件に対するプログラム委員による投票(上位3件を順序をつけて投票) を行い,上位2件(同得点)をプログラム委員会として,理事会に対し推薦し ました. ・この推薦を受けて,理事会がこれらの受賞を承認致しました. 受賞した2件は,大会中のアンケートで推薦されたものと座長が推薦したもの が,それぞれ1件となっています.推薦は発表を聞いて行われ,投票は「若手 研究者への鼓舞を目的とする新人賞という位置づけ」の下で,論文集に沿って 行われています. ○受賞論文と受賞者の紹介: *「大規模コーパスからの格フレーム辞書構築とこれを用いた格解析」 河原大輔, 鍛冶伸裕, 黒橋禎夫(京都大学) 文の理解を行うためには,構文解析だけでなく格解析を行うことが必要である. しかし,これまでは大規模な格フレーム辞書が存在せず,また格フレーム獲得 の手法も構文情報を正しく与えられたコーパスを前提としていたためスケール アップすることが不可能であった.本論文では,大規模コーパスをKNPによっ て構文解析し,その結果をうまくまとめることで構文解析のエラーの影響を軽 減して格フレーム辞書を自動構築する手法を提案した. 河原大輔 1975年生. 1997年京都大学工学部電気工学第二学科卒業. 1999年同大学院修士 課程修了. 現在, 同大学院博士課程在学中. 自然言語処理の研究に従事. 鍛治伸裕 1978年生. 2000年京都大学工学部電気電子工学科卒業.現在,同大学院修士課程 在学中. 自然言語処理の研究に従事. 黒橋 禎夫 1966年生.1989年京都大学工学部電気工学第二学科卒業.1994年同大学院博士 課程修了.博士(工学).同年,京都大学工学部助手,1998年京都大学大学院 情報学研究科講師,現在に至る.1994年4月より1年間Pennsylvania大学客員研 究員.自然言語処理,知識情報処理の研究に従事. *「最大エントロピーモデル基づく形態素解析と辞書による影響」 内元清貴(通信総研), 関根聡(NYU), 井佐原均(通信総研) 本稿では,最大エントロピー(ME)モデルに基づく形態素解析の手法を提案した. この手法では,辞書の情報を学習する機構を容易に組み込めるだけでなく,字 種や字種変化などの情報を用いてコーパスから未知語の性質を学習することも できる.辞書の情報,未知語の性質はそれぞれMEモデルの素性として学習され る.我々はこの手法により未知語の問題が克服される可能性が高いと考えてい る.京大コーパスを用いた実験では,再現率,適合率ともに95%程度の精度が 得られた.その実験結果のうち,未知語に対する精度を詳しく調べたところ, 我々の手法は,固有名詞,人名,組織名,地名など未知語になりやすいものに 対して比較的に推定精度が良いことが分かった.さらに,MEモデルの各素性を 削除した場合の実験を行なったところ,その結果から,辞書の精度に及ぼす影 響がかなり大きいことが分かった. 内元 清貴 1994年京都大学工学部卒業.1996年同大学院修士課程修了.同年郵政省通信総 合研究所入所.研究官.自然言語処理の研究に従事.言語処理学会,情報処理 学会,ACL,各会員. 関根 聡 1987年東京工業大学応用物理学科卒業.同年松下電器東京研究所入社. 1990-1992年UMIST,CCL,Visiting Researcher.1992年MSc.1994年からNew York University,Computer Science Department,Assistant Research Scientist.1998年PhD.同年からAssistant Research Professor.自然言語処 理の研究に従事.情報処理学会,人工知能学会,言語処理学会,ACL,各会員. 井佐原 均 1978年京都大学工学部卒業.1980年同大学院修士課程修了.博士(工学).同 年通商産業省電子技術総合研究所入所.1995年郵政省通信総合研究所関西支所 知的機能研究室室長.自然言語処理,機械翻訳の研究に従事.言語処理学会, 情報処理学会,人工知能学会,日本認知科学会,ACL,各会員. =================================== 言語処理学会のメイリングリストについてのお知らせ 言語処理学会では,メイリングリストを通じて,会議等の案内やニュースレター を配布しています.メイリングリストへの登録アドレスは学会(会員名簿)への 登録アドレスを用いていますが,毎回,かなりの量のエラーメイルが戻ってき ます.メイルアドレスを登録されている会員の方で,(nlp-members 457) といっ たサブジェクトを持ったメイルを受信されていない方は,学会事務センターに 正しいアドレスを伝えていただけますよう,お願い致します. なお,言語処理学会のメイリングリストは,登録したアドレス以外からの投稿 を認めておりません.その意味でも正しいアドレスの登録をお願い致します. =================================== ・学会に関する問い合わせは「学会センター関西」にお願いします。 〒560-0082 豊中市新千里東町1-4-2 千里ライフサイエンスセンタービル14F 学会センター関西 (担当: 山元 理恵) tel: 06-6873-2301 fax: 06-6873-2300 email: o-socie@bcasj.or.jp [ニュースレター担当] 佐藤理史 〒 606-8501 京都市左京区吉田本町 京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻 Fax: 075-753-5962 E-mail: sato@i.kyoto-u.ac.jp ===================================