言語処理学会ニュースレター

Vol. 9 No. 5 (2002年12月26日発行)


目次

言語処理学会第9回年次大会(NLP2003)開催案内
▽チュートリアル,招待講演の情報が追加されています
参加費事前登録
実行委員会からの連絡事項
併設ワークショップ「メディア/モダリティ統合における言語処理」論文募集
□会議報告
第2回中日自然言語処理共同研究促進会議報告
ISLE Workshop参加報告


■言語処理学会第9回年次大会(NLP2003)開催案内

開催日時:       2003年3月17日(月)            チュートリアル
                      3月18日(火)〜20日(木) 本会議
                      3月21日(金:春分の日)   ワークショップ
会場:           横浜国立大学
懇親会:        3月18日(火)夕刻(場所・時刻未定)

言語処理学会第9回年次大会では,例年通り,自然言語に関する理論から応用まで幅広い研究発表を募集します.とくに,言語学,音声学,国語学,日本語学,日本語教育学,心理学など,日頃「言語処理」とは縁が薄いと感じておられる人文系の研究者の方々からの積極的な投稿を期待しています.

従来通り,研究発表の形態は口頭発表(質疑とも20分間)とポスター発表のいずれかです.特に,人文系と理工系とのより密接な交流を図るには,多くの場合,ポスター発表が適しています.さまざまな分野の研究者との深い議論を期待される方は,是非ポスター発表への投稿をお願いします.口頭発表とポスター発表は時間帯を分け,両者が重ならないよう考慮する予定です.ポスター発表ではパソコン持ち込みなどによるデモ等も歓迎します.両種の発表とも,予稿集には最大4頁の論文を掲載する予定です.

チュートリアル,招待講演,ワークショップの内容は,下記を予定しています.後記のようにワークショップの発表申し込みも受け付けております.

チュートリアル:
  上田修功(NTT CS研) (題目未定: 統計的学習理論)
 野田尚史(大阪府立大学)「文章・談話レベルの文法現象」
 今井むつみ(慶応大学) (題目未定: 言語獲得/発達心理学)

招待講演:
  石田亨(京都大学)
    「コラボレーションのなかの機械翻訳
      --日中韓馬・異文化コラボレーション実験の経験から--」
  Hans Uszkoreit (DFKI)
     (題目未定)

ワークショップ:
  「メディア/モダリティ統合における言語処理」(詳細は後掲)

《大会発表申し込み締切・通知・論文提出期限》

  発表申し込み締切:       2003年1月 7日(火)
  採否の通知:             2003年1月15日(水)
  最終論文の提出期限:     2003年2月12日(水)

《大会発表申し込み先》

発表申し込みは,下記の通りWWW,ファクス,または郵便で受け付けます.

WWW: http://nlp-www.jaist.ac.jp:8000/cgi-bin/nlp-apply.cgi

ファクスまたは郵便:
      〒135-0064 江東区青海2-41-6
      産業技術総合研究所 サイバーアシスト研究センター
      橋田 浩一
      ファクス番号 03-5530-2067

なるべくWWWをご利用下さい.ファクスまたは郵便の場合は,下の発表申込書
に必要事項を記入してお送り下さい.

《大会参加申し込み》
大会の参加申し込みは,申し込み用紙(チュートリアル,大会,
ワークショップ兼用)を利用して,以下にお送り下さい.

      送付先: 〒560-0082
              豊中市新千里東町1-4-2  千里LCビル14F
              学会センター関西内  言語処理学会年次大会係
              Fax: 06-6873-2300
              Email: o-socie@bcasj.or.jp

<→参加費>

《大会参加事前申し込み・振込み締切》
  事前参加申込締切:           2002年2月12日(水)
  事前登録に伴う振込締切:   2002年2月28日(金)

《応募規定》

1.応募資格
    発表者または連名者の中に言語処理学会正会員または学生会員が含まれて
    いることが必要です.
    (入会の方法は後記の学会センター関西までお問合せください.)

2.口頭発表・ポスター発表の該当分野は以下の項目(小項目)から関係の深
    い順に3項目選択して下さい. 
  A.(1)音韻論,(2)音声学,(3)形態論,(4)統語論,(5)構文論,(6)意味論,
    (7)語彙論,(8)語用論,(9)記号論,(10)辞書学,(11)計量言語学,
    (12)計算言語学,(13)心理言語学,(14)対照言語学,(15)認知言語学,
    (16)社会言語学
  B.(1)計算辞書学,(2)ターミノロジー,(3)電子化辞書,
       (4)テキストデータベース,(5)ドクメンテーション,(6)言語資料
    C.(1)言語処理アルゴリズム,(2)言語処理用ハードウェア・ソフトウェア,
       (3解析・生成システム,(4)形態素解析,(5)構文解析,(6)意味解析,
       (7)言語理解,(8)対話理解,(9)音声理解,(10)談話理解,
       (11)音声言語処理
    D.(1)ワードプロセッサ,(2)機械翻訳,(3)情報検索,(4)対話システム,
       (5)要約,抽出,(6)言い換え,(7)自然言語インタフェース,
       (8)ハイパーテキスト,(9)各種応用
    E.その他(   )

************************************************************************
言語処理学会 第9回 年次大会  口頭発表・ポスター発表申込書

発表種別: いずれかに印を付けてください.
           ( )口頭発表
           ( )ポスター発表

表題:

著者名1:
フリガナ1:
所属1:
会員番号1:

著者名2:
フリガナ2:
所属2:
会員番号2:

該当分野:  第1分野( − ),第2分野( − ),第3分野( − )

使用希望機材 (口頭発表): 必要なものに印を付けてください.
                        ( )OHP
                        ( )プロジェクター

使用希望機材(ポスター発表)
 発表者が持ち込む機材(紙以外のもの)があれば,以下に書いてください:

  ( ) デモ用に机と電源が必要な方は左に印を付けてください.

発表要旨 (300 字程度):

連絡およびプログラム等の送付先
        住所:   〒
        所属:
        氏名:
        会員または非会員の別:
        Email:
        Tel:
        Fax:

----------------------------------------------------------------------
注1) 本欄記入事項によりプログラムを作成しますので,提出後の題目,氏名
     の変更はできません.
注2) 口頭発表の登壇発表者は,氏名の左側に○印を付けてください.
     所属名が長い場合,短縮名を括弧書きで添付して下さい.プログラム作
     成時に使用します.
注3) 著者が3名以上の場合は,上記と同様に番号を追加してください.
注4) 分野は,応募規定を参照して記入してください.
注5) 各著者につき,入会手続き中または非会員の場合は,その旨を会員番号
     の代わりに記入してください. 
注6) ポスター発表の際にPCを持参してデモをすることも可能です.デモ用に
     机と電源を用意いたします.インターネットへも接続できるように準備
     する予定ですが,確約はできません.インターネットへの接続がどうし
     ても必要な方は,H"やFomaなど,各自でインターネット接続できる環境
     を用意することもお考え下さい.詳細は下記参照.
     http://nlp-www.jaist.ac.jp:8000/NLP9/internet.html


■併設ワークショップ「メディア/モダリティ統合における言語処理」論文募集

日程: 3月21日(金:春分の日)
会場: 横浜国立大学(大会の会場)

近年,ブロードバンドネットワークの発展にともないテキストコンテンツのみならず音声や映像などのマルチメディアコンテンツの流通が活発に行われるようになった.しかし,従来の検索技術は文字情報に基づいているためそのままでは多様なメディア情報の検索には応用できない.そのため,メディア情報と言語情報を適切に関連付ける研究が盛んに行われるようになってきた.また,マルチモーダルインタフェースのような,さまざまなモダリティを統合的に処理して人間の意図を推論するシステムにおいても,視覚的あるいは聴覚的に与えられるメディア情報と言語情報を適切に組み合わせて処理する必要がある.メディア情報統合においてキーとなるのはやはり言語とその処理の枠組みであろう.たとえば,メディア情報の意味を具体的に扱うためには,言語の意味表現の枠組みを用いる必要があるし,マルチモーダルインタフェースは対話理解の枠組みに各種のモダリティから得られる情報を追加していくことによって処理を行う場合が多い.このようにメディア情報の統合的処理と言語処理は密接に関わっており,従来の信号処理のブレークスルーを言語処理の延長上に見出せる可能性は高いと思われる.以上の状況に鑑み,ビデオやオーディオなどのメディア情報の研究者・技術者と言語処理の研究者・技術者の交流を活発化するために,メディア/モダリティ統合における言語処理に関する研究成果を発表し,将来の方向性について議論することはきわめて有益であると考える.

このワークショップでは,以下のようなテーマに関する発表を募集します.また,これらのテーマに関わらず,広くメディア/モダリティ統合に関する研究発表も募集いたします.

メディア統合における言語処理
 信号処理と記号処理の統合
 言語を媒介とした異種メディア情報の関連付け
マルチメディアアノテーション
 マルチメディアコンテンツの解析と意味記述
 アノテーションに基づくマルチメディアの検索や要約
マルチモーダルインタフェース
 モダリティの統合的処理
 複数メディアを用いた対話処理
情報統合
 ハイパーメディアと言語
 マルチメディアコンテンツ間の自動リンク付け

特に,システムのデモを含む発表を歓迎いたします.密度の濃いディスカッションを行うための工夫を考えておりますので,奮ってご参加ください.

発表の申し込みは,以下の要領でお願いいたします.

1. 申し込み先(できるだけe-mailでお願いします)
    〒464-0814 名古屋市千種区不老町
    名古屋大学 工学研究科 情報工学専攻
    長尾 確
    tel/fax: 052-789-5878
    e-mail: nagao@nuie.nagoya-u.ac.jp

2. フォーマット
    タイトル:
    名前:
    所属:
    e-mail:
    アブストラクト(500字程度):

3. 申し込み締切
    2003年2月1日

プログラム委員(予定)
    長尾 確(名古屋大学)
    橋田浩一(産業技術総合研究所)
    間瀬健二(名古屋大学)
    角 康之(ATRメディア情報科学研究所)
    河口信夫(名古屋大学)


■第2回中日自然言語処理共同研究促進会議報告

井佐原均(通信総合研究所)

昨年10月30日から11月1日までの3日間の日程で開催されたCRLアジア交流プログラム「日中自然言語処理共同研究促進会議」の第2回として,通信総合研究所と北京大学はAPT(Asia Pacific Telecommunity)の後援を得て,平成14年10月31日から11月4日の日程で北京および上海で第2回中日自然言語処理共同研究促進会議を開催した.

31日にはデモセッションと研究機関見学(Microsoft Research Asia,中国科学院自動化研究所,富士通研究開発センター)が行われ,1日,2日には日中双方の研究者による講演会が行われた.また,4日には上海での研究機関見学(復旦大学,上海交通大学)が行われた.

日本側からは大学,研究機関,企業からの20名強の研究者が参加した.中国側からは50名強の招待参加者の他,数10名の一般聴講者があり,全体では100名を越える規模の会議となった.デモ・見学・講演も質・量共に充実しており,中国の自然言語処理分野への関心の高さが伺われる.講演会では,日本人16人,中国人22人の発表が行われ,質疑も盛んであり,有益な意見交換の場となった.第3回は来年,日本で開催する予定である.


■ISLE Workshop参加報告

徳永健伸(東京工業大学 大学院情報理工学研究科)

12月2日,3日の2日間にわたってItaliaのPisaでISLE(International Standards for Language Engineering) Workshopが開催された.このワークショップに参加する機会を得たので,その概要について報告する.

ISLEは米国とEUの間で言語工学に関する標準化をおこなおうことを目的とし,2000年から3年間の予定でおこなわれたプロジェクトである.プロジェクトはComputational Lexicon,Natural Interaction and Multimodality,Evaluationの3つのワーキング・グループに分れて活動しており,今回のワークショップは,Computational Lexiconのワーキング・グループが主催するもので,多言語のレキシコンが主なトピックである.今年がプロジェクトの最終年にあたり,このワークショップはプロジェクトの総括の意味も持っている.

ワークショップには18カ国から56名の参加があった.その内訳は欧州44名(内イタリア18名),米国5名,アジア6名,その他1名である.アジアからは日本2名,台湾,インド,韓国,タイから各1名が参加した.

今回のワークショップは最終報告書に向けて,プロジェクト参加者の進捗状況の報告と意見交換という本来の目的に加え,次期のプロジェクトへ向けて,現プロジェクト参加者以外の研究者も多く招かれていた.特に真の意味での国際標準を意識してか,アジアからの参加を積極的に呼びかけていた.今回,我々がワークショップに参加した目的もISLEの枠組をアジアの言語にどれだけ適用できるかを評価し,それを報告するためであった.

アジアでも前会長の辻井先生の呼びかけでAFNLP(Asia Federation of Natural Language Processing)の活動が活発になっており,今回の発表をおこなうにあたっては,AFNLPの下の言語資源委員会の委員の中からつのったボランティアで作業をおこない報告をまとめた.

ISLEの標準化のベースになっているものは,もともと屈折語の多い欧州の言語のみを考慮して策定されており,実際にその枠組をアジアの言語に適用してみると不都合が多いことがわかった.今回分析の対象とした言語(中国語,日本語,韓国語,タイ語,ヒンドゥー語,台湾語)は類型論的にはヒンドゥー語を除き,膠着語あるいは孤立語に属するが,特にこれらの言語での不整合が目立った.興味深かったのは欧州言語と同じ,印・欧語族に属するといわれているヒンドゥー語もアジア言語的な特徴を合わせ持ち,EAGLESの枠組ではうまく扱えないことがあるということであった.

具体的な提案として,数量詞の範疇を新設すること,現在はResidualの項に分類されている接辞を1級の範疇として採用すること,後置詞範疇の分類をより精密にすること,敬語システムに関する属性を導入することなどを提案した.アジアの言語は新鮮にうつったらしく,手前味噌ではあるが,我々の発表は好評を得たようである.

プログラムは2日間,朝9時半から夕方6時まで発表と議論,その後8時からディナーが用意されており,結局,解放されるのは12時近くという,大変密度の濃いものであった.

ISLEの主催者のグループでは,後継プロジェクトとして言語資源の共有のためのインフラストラクチャを整備することを考えており,そのテーマで2003年のACLのワークショップが開催される予定になっている.

ISLEの情報については以下のURLを参照されたい.今回のワークショップの発表スライドなどもダウンロード可能となっている.

http://lingue.ilc.pi.cnr.it/EAGLES96/isle/ISLE_Home_Page.htm


学会に関する問い合わせは「学会センター関西」にお願いします.

学会センター関西:
〒560-0082 豊中市新千里東町1-4-2
千里ライフサイエンスセンタービル14F
学会センター関西 (担当: 福本 恒平)
Tel: 06-6873-2301, Fax: 06-6873-2300
Email: o-socie@bcasj.or.jp

言語処理学会事務局:
〒152-8552 東京都目黒区大岡山 2-12-1
東京工業大学 大学院情報理工学研究科
計算工学専攻 田中研究室内
Tel: 03-5734-3046, Fax: 03-5734-2915
URL: http://www.pluto.ai.kyutech.ac.jp/NLP/

ニュースレター担当(佐藤理史)
〒 606-8501 京都市左京区吉田本町
京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻
Fax: 075-753-5962
Email: sato@i.kyoto-u.ac.jp

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