開催日時: | 2011年3月7日(月) 11:00〜18:30 |
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場所: | A講義棟1F A-101教室 |
(T-a) 11:00〜12:30 司会:高村大也(東工大)
「強化学習の基礎と言語処理への応用」 (pp.1-16)
伊藤 秀昭 氏(佐賀大学)
強化学習は,機械に望ましい動作を学習させるための汎用的な手法の一つである. 言語処理分野においても近年注目を集めており,ACL-IJCNLP 2009やCOLING 2010において強化学習関連の論文がbest paperやbest paper finalistに選出されたことは記憶に新しい. ただし現時点では,言語処理分野において強化学習を利用した研究は対話制御など一部の問題を除いてまだ少なく,今後の研究の進展が強く望まれる. そこで本チュートリアルでは,強化学習の基礎的事項を説明するとともに,現在までに研究されてきた応用例を紹介することで,強化学習のさらなる活用の可能性について考える材料を提供することを目指す.
(T-b) 13:30〜15:00 司会:宮尾祐介(NII)
「形式意味論の考え方とその変遷」 (pp.17-46)
戸次 大介 氏(お茶の水女子大学)
現在の自然言語処理は,統計的言語処理の手法が成熟すると共に,改めて「意味」情報を扱うことの難しさに直面しているといえる. 一方,形式意味論は自然言語の真理条件的意味に対する論理学的アプローチを特徴とする分野であるが,自然言語処理の側からは,かつての“記号論的手法の失敗”以来,意味の扱いについて形式意味論を拠り所にすることは(少なくとも日本では)殆ど無かったといってよい. しかし形式意味論はその期間に論理的文法理論と共に発展を遂げ,特に中心的パラダイムである「動的意味論」は,プログラミング意味論や認識論と相まって独自の展開を見せているが,自然言語処理のコミュニティにおいてはそれほど広く知られているとはいえない. そのような現状を踏まえ,本チュートリアルでは形式意味論の考え方,基本的問題,枠組みの推移などを筆者の研究成果を交えて解説し,自然言語処理の意味処理への応用可能性と展望を語る.
(T-c) 15:15〜16:45 司会:高村大也(東工大)
「Understanding sentences in Japanese」 (pp.47-57)
Edson T. Miyamoto 氏(筑波大学)
I will first summarize evidence indicating that people process sentences incrementally word by word in Japanese, even before the verb is available. I will then discuss some of the effects that have been attributed to working memory and implicit prosody during silent reading. In the final portion of the tutorial, I will describe two lines of work for which I believe that insights from human behavior can contribute to the field of NLP.
(T-d) 17:00〜18:30 司会:藤田篤(未来大)
「言語生成研究の動向」 (pp.61-80)
徳永 健伸 氏(東京工業大学)
人間による言語の利用を考えると言語表現を作り出すことは,言語表現を理解するのと同じくらい重要なはずである. しかし,言語処理の研究分野では,言語解析の方向の研究が圧倒的に多く,研究資源の配分という観点からは解析と生成のバランスが著しく偏っている. このチュートリアルでは,1990年以降の研究を中心に言語生成の研究課題を概観し,基本的な概念の解説をする. まず,言語生成の概要について説明し,90年代から盛んに研究されてきた参照表現の生成を中心にいくつかの研究課題について述べる. また,最近注目されている研究課題として言語生成システムの評価についてもふれる.