「自然言語処理」特集号 論文募集
テーマ:「コーパスアノテーション―新しい可能性と共有化にむけての試み―」
特集の趣旨
従来,主に工学利用を目的として,形態論レベルから意味論・語用論レベルまで様々なアノテーションが新聞記事やウェブテキスト等を主な対象として提案され実施されてきました.2011年12月に『現代日本語書き言葉均衡コーパス』(BCCWJ)が一般公開されたことによって,新聞記事やウェブテキストに限られない多様なジャンルのテキストが単一のコーパスとして共有化されました.各機関でコーパスアノテーションが進められアノテーションデータが頒布されつつあります.
このような狭義のアノテーションにくわえて,最近では,言語研究の現場において,中規模でジャンル横断的なアノテーションにかえて,大規模なテキストを母集団とし,研究対象とする特定の言語現象が出現する用例を探索し,情報を付与するキュレーションが行われるようになりつつあります.これも広義のアノテーションとしてとらえることができます.
アノテーション・キュレーションの要素技術である,標本同定・仕様策定・標準化・作業者教育・アノテーション支援環境・既存のアノテーションとの重ね合わせ・スタンドオフによる公開・版管理などについての方法論は,従来,研究者同士の局所的な情報交換により蓄積されてきましたが,今後はよりオープンな場で議論が進むことが期待されます.
2013年の第19回年次大会では,チュートリアル「テキストアノテーション:現状と今後の方向性」とテーマセッション「コーパスアノテーションの可能性と共有化」とが独立に提案され,採用されています.これはアノテーションに関する議論の場の必要性を示す出来事であったといえましょう.
今回提案する特集号では,アノテーション方法論への貢献を念頭において,アノテーション研究の現状を総括しようとするものです.具体的には以下のようなテーマ(および関連するテーマ)に関する論文・技術資料・解説論文を募集します.
なお,アノテーション作業の性質から定量的な評価が困難であることが予想されます.本特集号においてはその点を十分考慮し,数値的な検証にこだわることなく,実際のアノテーション作業の現場に有効な知見・可能性を重視し,採録を判断いたします.またそもそもアノテーションは論文にならないという固定概念も一部に存在するようですが,そのような思い込みを打破することも,本特集の目標の一部となっています.
対象領域
論文の対象になるもの- 実際のコーパスアノテーション時に必要な標本同定・仕様策定・標準化に関する基礎研究
- コーパスアノテーション作業者教育の新しい方法論の提案
- アノテーションの重ね合わせ・共有化における新しい技術の提案
- コーパスアノテーション作業者教育の既存の方法論の実施報告
- アノテーションの重ね合わせ・共有化における既存技術の利用報告
- 既存のコーパスアノテーション作業環境や検索・管理ツールの解説
投稿資格
本特集号の趣旨にもつ方ならばどなたでも投稿することができます.論文は通常の論文と同様の査読過程を経た上で掲載の是非が決定されます.
投稿の方法ならびに形式
- 原稿の準備・投稿
原稿の体裁・書き方等については,学会誌「自然言語処理」の原稿執筆案内に従ってください.
本特集号では査読者手配のため,論文投稿の前に概要の投稿(200字〜300字程度)をしていただく必要があります.その際,著者名,表題,代表著者の氏名・所属・メールアドレス・電話番号もいっしょにお知らせ下さい.
出来上がった論文は 2013/9/20 23:59 までに,「【特集号論文】」ではじまるタイトルの電子メールに添付し,特集号編集事務局 nlp-submit-ca (at) anlp.jp へお送りください.
スケジュール
概要投稿締切 | 2013/09/09 | |
論文投稿締切 | 2013/09/20 | |
著者照会予定 | 2013/11/01 | |
著者回答締切 | 2013/12/06 | |
採録通知予定 | 2014/01/17 | |
論文掲載予定 | 2014年4月号(4/15) |
特集号編集委員(50音順)
小原 京子(慶應義塾大学)
河原 大輔(京都大学)
竹内 孔一 (岡山大学)
建石 由佳(国立情報学研究所)
前川 喜久雄(国立国語研究所)
松林 優一郎(東北大学)
松本 裕治 (奈良先端科学技術大学院大学)
松吉 俊(山梨大学)
丸山 岳彦 (国立国語研究所)
森 信介(京都大学)
nlp-submit-ca (at) anlp.jp